「広島をソフトウェアロボットの聖地にしたい」と語る広島県情報産業協会の梶川祐朗理事

 人手に頼ってきた事務作業の大幅な効率化が見込める、として注目度が高まっているRPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化)ツール。このRPAツールを生かして地方経済を盛り上げようという挑戦が、広島県で進んでいる。RPAツールによるソフトウェアロボットの聖地を作り、地域産業の活性化を図る――。そんな「広島ロボットセンター構想」について、広島県情報産業協会の理事を務めるエネルギア・コミュニケーションズ(エネコム)経営戦略本部の梶川祐朗ITサービス事業部長に聞いた(以下、聞き手は筆者)。

ソフトウェアロボットで地域産業を活性化

 広島ロボットセンターは、端的に言うとソフトウェアロボットに関する知の結晶です。人がパソコンに対して行っている操作をソフトウェアで自動化するロボットなのでRPAツールのことを「ソフトウェアロボット」と呼びます。RPAツール関連の技術はもちろんのこと、RPAツールでソフトウェアロボットを開発する人材やノウハウ、ソフトウェアロボットの部品などすべてが集積する一大拠点。そんなソフトウェアロボットの聖地を作る構想を描いています。

 広島ロボットセンターで生まれたさまざまなソフトウェアロボットが、人手を必要としている県内のユーザー企業の事務処理を支援する。将来的には、労働力不足に悩む日本各地のユーザー企業の求めに応じて、広島ロボットセンターで培ったRPAツール活用のナレッジを流通させたり、構築や運営のノウハウを提供したりしながら、生産性の向上に貢献していきたいと考えています。

 広島ロボットセンター構想には実現したい目的が大きく2つあります。まず、地域産業の活性化です。

 広島県には製造業や観光業など主力と呼べる複数の産業があります。例えば観光業だと最近は海外からの観光客も多く、大型客船が来航した際には大いににぎわい、土産物店では店員を増員したり仕入れを増やしたりする対応が求められる。また、仕入れ先となるメーカーや卸売業者では、土産物店からの注文を受けて速やかに商品を発送する手配に追われる。

 ところが、大都市へ人口が集中する傾向が続くなどの理由から、地方の人口減少と労働力不足は今後ますます深刻になっていくことが予想されます。観光客の増加で膨らむビジネスチャンスをしっかり手にするための人材確保は難しくなるでしょう。