IoT、AI、ロボットなど、テクノロジーの技術開発が進んでいくと同時に、IT人材の需要は大きな高まりをみせている。しかし日本は現在、深刻なIT人材不足が叫ばれている状況下にあり、人材採用は企業における最重要課題ともいえるだろう。
そんな中で、外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンが、4月~6月期の採用動向レポートを発表した。1月~3月期の発表では、IT業界で多数の新たな人材需要が生まれていると指摘されていたが、今期についてはモバイル開発者の獲得競争が一層加熱することが予想されているのだ。
近年、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末は私たちの生活に溶け込み、もはやなくてはならないという存在になっている。電車に乗ると、目的地に到着するまでの間に多くの人がスマートフォンでアプリやゲームを操作している姿もよく目にする光景だ。
かくいう私もそのうちの一人なのだが、モバイルは、アプリやゲーム以外にも、マーケティングチャンネル、メディア、小売りプラットフォーム、パーソナルデバイスなど、さまざまな用途で用いられるようになっており、今後も国内での普及は加速する見通しにあると、ヘイズのマネージング・ディレクター、マーク・ブラジ氏(以下、ブラジ氏)は語っている。
優秀な人材をめぐる争奪戦が勃発
日本では今年の初めに、モバイル仮想ネットワーク事業者(MVNO)に対する規制が緩和されたことも、モバイル関連やサービスの需要をさらに高める要因となっており、これが人材の需要拡大にもつながっているといわれている。
また、レポートでは、4月~6月の間に契約・派遣社員の求人増加、ビッグデータやサイバーセキュリティ関連のスペシャリストの需要拡大が見込まれることも明らかにしている。
一方、大手企業におけるIT業務委託はますます一般化しており、ITプロフェッショナルの派遣や契約の求人が増加し、スキルの高い人材をめぐってサプライヤー間での争奪戦も生じているのだ。
こうした求人については業務の性質上、日本人が求められることが多いものの、海外の人材も多数採用される。この点について、ブラジ氏は、「国内では依然として優れたスキルを持ったバイリンガルのIT人材が不足しており、正社員の採用までには3カ月、契約・派遣社員についても2カ月程度を要するケースも珍しくはありません」と述べている。
その他、国内ではビッグデータ関連のベンダーが増加し、商品やサービスの幅が広がりを見せている。このことから4月~6月期には活発な採用活動が予想されるほか、サイバーセキュリティ関連でも引き続き多数の求人が見込まれ、今後ともIT人材の需要拡大はとどまることがないようだ。