アップルの長期的な方向性に疑問

 ウォール・ストリート・ジャーナルは、「アップルは単なる外国企業ではない」と報じている。時価総額世界トップの企業であり、iPhoneを製造するためだけに同社専用の「都市」を必要とするほど巨大。現在その出荷台数は毎年2億3000万台を超えている。

 同社製品のほぼすべてが中国で生産されているという状況の中、中国での不安の高まりは、iPhoneの短期的な販売だけでなく、アップルの長期的な方向性に対する疑問を増幅させているという。 米バンク・オブ・アメリカのアナリストであるワムシ・モーハン氏は22年11月初めに公表したリポートで、「アップルにとって、中国を拠点とする生産体制からの有意義な分散化は何年も先になるだろう」と指摘した。

上位モデルの需要消滅か

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アナリストらはおおむね、14 Proの購入を検討しているほとんどの人が納期が遅れても待つだろうと予想している。その場合はiPhoneの収益の一部が23年1~3月期にずれ込むことになる。その一方で、欧州金融大手クレディ・スイスのアナリストであるシャノン・クロス氏は22年11月23日に公表したリポートで、「新しい携帯電話を必要としている人やクリスマスプレゼントにiPhoneを贈ろうと思っている人によって、需要がより安価なiPhone 14と14 Plusに移行するリスクがある」と指摘する。

 ロイター通信によれば、アップル製品の市場動向やサプライチェーン情報に詳しい中国TFインターナショナル証券のミンチー・クオ氏は、22年10~12月期における14 Proと14 Pro Maxの出荷台数が市場予想を最大2000万台下回ると指摘している。これにより同四半期のiPhone全機種の出荷台数は市場コンセンサスの8000万~8500万台に対し、2割少ない7000万~7500万台になると同氏はみている。

 同氏はブログへの投稿記事で、「消費者も景気の減速の影響を受けている。14 Proと14 Pro Maxの供給不足は販売時期の先延ばしにつながるのではなく、これら上位モデルに対する需要のほとんどを消滅させる可能性がある」とも指摘している。