ダイハツ工業 DX推進室 デジタル変革グループ長 太古無限氏(撮影:川口絋、以下同)
ダイハツ工業では、AIを軸としたデジタル技術の活用をあらゆる場面で進めている。社内での活用のみならず、自社のノウハウ、ツールを他社に提供することで製造業界全体の業務効率向上を実現することも視野に入れているという。ダイハツ工業のDXを主導するDX推進室 デジタル変革グループ長 (兼) DX戦略担当の太古無限氏に、わずか3人から始まったDXの道のりを聞いた。
最初は組織も方針もない活動だった
──太古さんは元々エンジン開発のエンジニアでした。DX推進を担当することになったのはなぜですか?
太古無限氏(以下敬称略) 2007年にダイハツに入社して、エンジン開発部で小型車用エンジンの適合や制御開発を担当していました。2017年頃から世の中では「機械学習やディープラーニングを使わない企業はやがて終わることになる」といわれ始め、自分でも危機感を抱くようになっていましたが、当時、会社の方針としてAI活用やDX推進という言葉はまったく出ていませんでした。それなら「自分がやってみよう」と思ったんです。
同様の問題意識を持つ仲間が2人いて、業務後に勉強会を開きました。やってみると、思ったほど難しくない。「これなら自分たちにも使える」と分かりました。そして、進めていくうちに「自分たちだけでやっているのはもったいない」という考えも芽生え、機械学習を周りに広めていく活動へとシフトしました。
組織もなく、方針もなく、正真正銘の草の根活動でした。ところが、そういう活動を続けていたら、さまざまなチャンスが生まれてきました。例えば、当時、人事部主導で「東京LABO」という技術者を東京でも採用する企画があったのですが、その企画に相乗りすることができました。また、2020年10月にデータサイエンティストを集める活動を始めたのですが、そのタイミングで機械学習を自動化するツールも業務に導入でき、それを社内で展開したところ、好評で活用が広がっていきました。
また、社内に技研(技術研究会)という1949年に発足した自主参加の学習組織があるのですが、そこで機械学習を勉強する会の幹事にもなりました。参加希望者を募ったところ、当初想定していた10人程度を大きく上回り、100人近くが集まりました。






