
スタイリッシュなスクエアケースを継承
タグ・ホイヤーが2025年、F1公式タイムキーパーに復帰した。そして、それを記念するモデルは、やはりカーレースにゆかりのある『モナコ』だった。
1969年に発表された『モナコ』は開発されたばかりの自動巻きクロノグラフモデルを搭載した、スクエア型の腕時計だった。当時スポーツウォッチというカテゴリーでは、スクエア型はめずらしかったし、ブルーダイヤルを合わせ、そこに挿し色のレッドが入った造形はとても新しくてスタイリッシュだったのだが、発売当初はそれほど注目されることもなかったという。
しかし1971年に公開されたル・マン24時間レースを題材にしたカーアクション映画『栄光のル・マン』が公開されると一変、一躍世界的人気モデルとなったのである。以降、『モナコ』とカーレースは切っても切れない関係になった。しかも、モナコの名はモナコ公国からとられているということだが、実は世界三大レースのひとつ「F1モナコグランプリ」を意識してのものということらしい。今年は史上初めてモナコグランプリのタイトルパートナーにもなっている。
しかも、タグ・ホイヤーとF1のパートナーシップがはじまったのも1969年。奇しくも『モナコ』誕生と同じ年だったのだ。だから、F1公式タイムキーパー復帰の記念モデルは『モナコ』こそ相応しい。
ブランドの歴史に根ざした機構
その『タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフ | F1』は、タグ・ホイヤーの歴史に深く根ざした複雑機構、スプリットセコンド機能を搭載した魅了的な1本だ。そして、そこにはタグ・ホイヤーが1世紀以上にわたって培ってきた技術が反映されている。
ケースはホワイトセラミックとサファイアクリスタルの複合構造で構成され、個性的な造形をさらにポップに仕上げている。文字盤はF1のシグネチャーカラーと鮮やかかつ半透明な素材を採用。紅白のコントラストが強烈なインパクトを放っている。

セラミックは加工が極めて難しいことで知られているが、タグ・ホイヤーはこの繊細な素材を見事に加工し、ムーブメントを収納する金属製の容器を使用せずにケースを作り上げている。しかもケースのあらゆる角度、カーブ、表面はすべて手作業で仕上げるという丁寧な仕事が高い品質を保証してくれる。
また、クロノグラフカウンターは、アスファルトのようなグレイン仕上げ。ホワイトとイエローはスターティンググリッドポジションといった、サーキットを彷彿させるデザインとなっている。
多機能を載せた最軽量ムーブメント
ストラップには、文字盤と呼応するかのようなレッドのハンドステッチが施されたホワイトのカーフストラップ。組み合わされるダブルフォールディングバックルは、グレード5チタン製ということだ。

そして、このモデルの動力となっているのが、自動巻スプリットセコンドクロノグラフムーブメント、Cal.TH81-00である。タグ・ホイヤーがこれまでに製造したクロノグラフキャリバーの中でもっとも軽量ながら、毎秒10振動のハイビートと、約65時間のパワーリザーブ。さらにはスプリットセコンド機能を兼ね備えた、革新的なムーブメントなのだ。この複雑で魅力的なキャリバーTH81-00は、ケースバックが1枚のサファイアクリスタルでつくられていることで、遮るものなく見ることができる。
タグ・ホイヤー の技術と『モナコ』が持つポップなデザインが、新しい素材の融合を受けて弾けた。そういった強烈な印象を残す限定モデルである。