ジェントルマンドライバー向けサーキットでそのパフォーマンスを確かめる

 今回はそのパフォーマンスを、スペインのアスカリ・サーキットで体験した。

 通常、サーキットはプロフェッショナルなレースを興業として行い、そこでの売り上げで事業を営むケースが多いが、アスカリ・サーキットは車両のオーナーが自らクルマを操って楽しむために作られた世界でも数少ないプライベート・サーキットで、まさに前述したジェントルマンドライバーのためのコースといえる。高級車の輸入で著名なコーンズが一昨年にMAGARIGAWAというプライベートサーキットを千葉県にオープンしたが、このMAGARIGAWAも開業に際してはアスカリ・サーキットを参考にしたとされる。

アスカリ・サーキットを運営するのは、1995年設立でかつてはスーパースポーツカーを生産していたアスカリ・カーズ(Ascari Cars)

 GT2ストラダーレは、ここでサーキット用モデルらしい軽快な走りと、高い安定性を示した。軽快さゆえにドライバーは思いどおりに車両をコントロールできるほか、安定性が高いので、GT2ストラダーレが持つ優れたパフォーマンスを引き出せるともいえる。こうした扱い易さは、プロフェッショナルではないジェントルマンドライバー向けのモデルとしては欠くことのできない要素である。

 いっぽうで、タイヤが路面を捉えている様子がステアリングフィールとして伝わってくるため、一定以上のスキルを持つドライバーであればコーナリングでタイヤの限界付近まで攻めるのも難しくないし、コーナー出口で故意に過大な駆動力をかけることでリアタイヤのグリップを失わせ、いわゆるドリフト状態に持ち込むことも可能。こうした限界的な走るが楽しめる能力も、ジェントルマンドライバー向けのサーキット用モデルに求められるポイントのひとつである。

 サーキット走行後には一般道でも試乗したが、その乗り心地はまずまず快適で、たとえば100km程度のドライブであれば苦もなくこなせるはず。したがって、GT2ストラダーレで自宅からサーキットまで向かい、そこでサーキット走行を楽しんだあとで、また自宅まで戻るという楽しみ方をするにも不自由しないだろう。

 GT2ストラダーレの価格は4394万円で、豊富に用意されたオプションを装着すると6000万円くらいまですぐに跳ね上がるそうだが、ライバルメーカーのサーキット用モデルのなかにはもともとの車両価格が1億円に迫るケースも少なくない。それを考えれば、GT2ストラダーレは優れたコストパフォーマンスを備えているといえる。