素晴らしく美しく切り出された生ハムを味わって
『高倉小よこバル』の開店は2020年。横川さんは店を開く前に、人気の立ち飲み屋などでも働き、日本酒や刺身、揚げ物など、居酒屋メニューも習得。生ハムとそれに合うお酒やおつまみを出す、スペインだけでも、居酒屋寄りでもない、ここだけのスタイルを作り上げた。
そうしてスタートした店は、大きなカウンターがあり、テーブル席もあり、女性一人でも、友達と一緒でもフラッと飲みに来られる包容力のあるバルになった。地元のコミュニティに根差した本場のバルのように、店は子供もOKなので、家族連れでもゆったりできるのもいい。
その日仕入れた食材から組み立てるメニューは幅広く、刺身やお惣菜のほか、現地で学んだスペイン料理もしっかり組み込まれている。もちろん生ハムは必食で、カウンターに置かれた原木の生ハムから、咲さんが美しく切り出していく姿も頼もしい。

この日のメニューで出されたのは、刺身で食べられる脂がのったニシンをサッとあぶたった『北海道 ニシンのあぶり』。調味料は塩とオリーブオイルがおすすめだが、しょうゆも出してもらえるので、好みで和とスペインを行ったり来たりというのも楽しい。また鮭の白子をシェリー酒蒸しにしてからおろしポン酢を添えるなど、和とスペインのさりげないミックスも個性的だ。

お酒は、ワインやシェリーはもちろん、剛貴さんの出身地という鳥取を中心に日本酒があったり、ビールやレモンサワーがあったりと誰にでもフレンドリーで自由度が高い。
ユニークなのは、生ハムに日本酒、それもある程度寝かせて熟成を効かせた濁り酒やしっかりした味わいの生酛純米酒を合わせるのがおすすめということ。滋味豊かな脂に負けない日本酒を選べば、口の中で生ハムの旨味が膨らむのだ。

美味しいものをつまんで飲んで、気楽におしゃべりできる。そんな本場のバルのスピリットに根差しつつ、日本酒や刺身もあるなど、日本らしさ、京都らしさも取り入れている『高倉小よこバル』。横川夫妻の顔を見に、毎日でも通いたくなる日常使いにうれしい店なのだ。

住所:京都府京都市中京区高倉通蛸薬師上る和久屋町357-1
TEL:075-708-7041
営業時間:18:00~22:30(LO21:30)、土・日・祝14:00~22:30(LO21:30)
休:火曜