2.「Desert Boot」
「ワラビー」と双璧をなす英国ユース・カルチャーのアイコン
「ワラビーブーツ」と双璧をなす代表作を挙げるならば、この「デザートブーツ」で間違いないだろう。生まれは第二次世界大戦真っ只中の1950年。クラ―クス社の4代目であるネイサン・クラークが兵士としてビルマ戦線に赴いた際、同僚が履いていたスウェード素材の靴をモデルに誕生した。
最大の特徴は、天然ゴムを用いたクレープソールが生み出す柔軟な履き心地にある。優れたクッション性を持ち味としながら、しっかりと地面をつかむグリップ力で高い歩行性を実現。不安定な砂漠でも歩きやすいだけでなく、アッパーとソールをステッチダウン製法で固定し、シューズ内に砂が混入しないようにするなど、ミリタリー由来の機能性へのこだわりが随所に光る。
1960年代の英国で、細身の三つ揃いのスーツとともにモッズ・カルチャーの象徴的アイテムとして愛されたその理由は、洗練されたシルエットと汚れてもサマになるスウェードの質感。過ぎ去りし青春の光は、今も失われていない。