藤原ヒロシ、ファッション界の生きる伝説「キング・オブ・ストリート」価格や既成概念を覆したクリエイションを辿る｜あの頃に欲しかった、いま手に入れたいネオ・ヴィンテージ（第5回）

brand3　FINESSE

知る人ぞ知る裏原ブランド

　ファッションにしろ音楽にしろ、いくつものプロジェクトを同時にこなしてきたのが、同氏の恐ろしいところ。フィネスも、グッドイナフなどのブランドと並行するかたちで、1995年に創設された。このブランド名は、氏の当時のオフィス名に由来するのだが、なんと名付けたのは、かのショーン・ステューシーだとか！　

　当初は仲間内に向けてデザインしたアイテムを、裏原の伝説的ショップ「ノーウェア」で少数のみ販売していたが、認知度が拡大するとともに、アイテムのバリエも拡充。両胸にマチ付きポケットを備えた、この手の“パッと見はフツーだけど気が利いた”ワードローブは、氏の他ブランドと同様、熱狂的信者を獲得していた。

 

brand4　HEAD PORTER

国民的バッグブランドに独自のエッセンスを注入

　氏がプロデュースしたバッグを、「ポーター」ブランドでお馴染みの吉田が製造するバッグブランドとして1998年に誕生。説明不要の高品質を担保しながら、既存のポーター製品とは趣の異なるデザイン哲学によって生み出された“お洒落なポーター”は、ベーシックが好きだけど平凡を嫌う洒落者たちに広く、深く支持された。

　こうした子どもに見えないチェックも、氏が好んで使用した柄のひとつ。推しむらくも2019年にブランドは終了してしまったが、リユース市場では今なお指名買いが絶えない存在として人気を博す。