車内はまさに「走る模型博物館」

 ホビートレインという名のとおり、鉄道模型と走るアミューズメントトレインというコンセプトのため、外観だけでなく車内も魅力にあふれている。基本的にはロングシートが並んでいるが、鉄道模型が展示されたショーケースが3つもあり、歴代新幹線の先頭車両や四国で活躍した車両などが展示され、まさに走る模型博物館。床にはJR四国のルーツとなる讃岐鉄道が開業時に投入したドイツ製A1形タンク機関車の形式図が青焼きのイメージで描かれており、その上を歩くのにはちょっと躊躇してしまうほど。

シートやカーテンには走る列車や四国をイメージした柄が採用されている

 なかでもイチオシは、かつて0系で実際に使用されていた転換シートが2脚設置されていること。ここに座っているとかつての新幹線の雰囲気を味わえるが、流れる車窓とのギャップがまた面白い。

車内に設置された0系の転換シート。通路側の肘掛けからはテーブルも引き出せ、懐かしさが味わえる

 こんなに楽しい車両なのに特別料金は不要で普通運賃だけで乗車できるところも、JR四国の太っ腹さを感じてしまう。どの列車に使用されているのかはホームページで確認できる。

四万十川沿いを進む列車。宇和島側の先頭部は流線形ではなく、団子鼻などは立体的に描かれている。立体的な先頭部を撮影したいなら窪川方面から狙うと良い

 予土線にはほかにも「しまんトロッコ」や「カッパうようよ号」、「おさんぽなんよ号」など、車内や外観などに特徴ある車両が6種類走っており、Yodosen Fun Fun Trainsを形成して地域や路線の盛り上げに一役買っている。

 ただ硬い話をすれば、「鉄道ホビートレイン」が本物の0系に忠実かというと、“そっくり”は言い過ぎかもしれない。でもボクはこの心意気だけで十分満足だし、なにせ愛嬌ある姿を見ているとほっこりした幸せな気持ちになれるので、よくぞ造ってくれたと関係する方々に感謝の意を伝えるとともに、列車の運行をこれからも応援し続けたい。

 ちなみに西条市の十河信二記念館のそばには四国鉄道文化館があり、そこには本物の初代新幹線0系が展示されている。両施設は観光交流センターとともに鉄道歴史パーク in SAIJOとなっており、四国の鉄道や西条市の魅力についても学ぶことができる。もし時間があれば、まさかの四国で0系のハシゴ旅も良いのでは?