文・写真:金子 浩久

これ読める?な警告文ともにブレーキパッドの交換へ

 我がポルシェ718ボクスターは、2023年11月に1年の法定点検と整備を受けるためにディーラーの工場に1週間入庫していました。

 購入して6年を経過した後の法定点検に当たるものです。車検が、クルマを購入して3年後に続いて5年後、7年後と以降2年ごとに設定されています。それらの間にある1年毎に法定点検を受けることになっています。その5年と7年の車検の間の6年経過後の点検です。

 718ボクスターを購入したポルシェセンター浦和の営業担当者Sさんとは、毎年、点検や車検の時期が近付いてくると、ショートメールでやり取りが始まります。入庫時期と、僕からのリクエストについてです。

 今回は、ブレーキパッド交換をリクエストすることになっていました。ブレーキパッドについては、9月はじめから718ボクスターのメーターパネルの右側に表示されるマルチファンクションディスプレイにブレーキに関する警告が現れていたのです。それも、ちょっと変な日本語の表示で理解に苦しむものでした。

摩耗限度ブレ
ーイニング要交換
継続走行可能

 画像を見ていただければ、文字の区切り方がおかしく、省略されている文字もあるように見えます。Sさんに画像を送ると、「変な日本語になってしまって申し訳ありません」と、慣れた感じの文面が返信されてきました。同じ問い合わせをたくさん受けてきたのでしょう。

 近い言葉として想像できるのは「ブレーキライニング」ですが、ブレーキライニングとは一般的にドラムブレーキのドラムに押し付ける摩擦材のことです。4輪ディスクブレーキの718ボクスターの摩耗材はパッドです。データベースによっては、“ディスクブレーキのパッドを示す場合もある”とあります。

 サービスマニュアルを確認すると、黄色いアイコンはブレーキについて示しています。また、アイコンそのものも良く見るとディスクブレーキではなく、ドラムブレーキを表現しています。

 いずれにしても、ブレーキは重要なので、工場に見せに行くことにしました。

ポルシェのブレーキに助けられた話

 クルマ好きたちの常套句の中に、「ボルシェのブレーキは絶大だ」というものがあります。自分の2台のボクスターに限らず、国内外でさまざまなポルシェを運転してきた経験から言っても、それは間違っていません。

 自分の718ボクスターを買ってすぐの頃に、中央高速道路の上りでポルシェのブレーキに助けられたことがありました。都内に向かって八王子を過ぎ、調布の手前で前方のクルマたちのペースが急に落ち、停まり始めました。そこは左から合流してくるクルマもあって、僕の前にも2トントラックが1台割り込んできました。減速中に割り込まれたわけですから、ギリギリです。フルブレーキングしてもブツかるかもしれない、と最悪の場合が頭をよぎった直後に2トントラックとの間にわずかの隙間を残して停まりました。

 ホンの数秒間のことでしたが、力強くブレーキペダルを踏み続けたにもかかわらず、タイヤはロックすることもなく、スキール音も上がりませんでした。4本のタイヤが踏ん張り、それぞれのトレッドパターンが押し広げられながら必死にアスファルトを掴んで回転していく様子が想像できました。

 単にタイヤが回転するのを止める力を強くしただけではロックしてしまうし、かといって弱くてはタイヤは回り続け、クルマは止まりません。絶妙そのものでした。同じような体験はしたくはありませんが、718ボクスターのブレーキへの信頼が絶対的なものとなりました。

ブレーキディスクが減るとどうなるのか?

 ディーラーに到着すると、サービスフロントの担当者氏は、ホイールの隙間から見えるブレーキディスクを指しながら、パッドだけではなくディスクを交換する必要もあると言います。その時点で6年5万9000km走っていましたから、ディスクも併せて交換する時期が来ているということでした。

 ディスクブレーキはパッドだけが摩耗していくのではなく、ディスクも同時に摩耗していくものなので、時期が来れば交換するものなのですね。718ボクスターの前に乗っていた初代ボクスターでも、同じようにディーラーの工場から勧められて時期に準じて交換したことがあります。

 ディスク交換で思い出すのは、その初代ボクスターの前の前に乗っていたプジョー505GTiです。1990年に新車で購入し、12年13万km乗って友人に譲りました。とても素晴らしい最後の後輪駆動プジョーでしたが、途中で4輪のブレーキディスクを交換しました。

 然るべき交換時期を過ぎても乗り続けていたことによって、メカニックのアドバイスよりも先にトラブルが発生したのです。走行中にブレーキを踏むと、ペダルを通じて振動が伝わってきたのです。どんな路面のどんなスピードででも、弱く踏んでも、強く踏んでも4本のホイールが左右と前後方向にブルブルブルブルと揺れているように右足裏にハッキリと伝わってきました。

 もちろん、ホイールはサスペンションに固定されているので、外れそうになっているわけではありません。工場で診てもらうと、ブレーキディスクが偏摩耗していることが原因なので交換する必要があるとのことでした。

 ディスクにパッドが押し付けられて両方ともが摩耗していくのですが、ディスクの表面は一定の割合できれいに削り取られていくわけではないのです。波打つような凸凹が表面にできて、それがパッドを通じてくると今にもホイールが脱落してしてしまうのではないかというくらい大きな振動に感じられてしまうのでした。

 ポルシェセンター浦和の判断も、「そうならない前に交換を」ということです。