* 本コンテンツは以下講演の【講演動画】と【全文採録記事】で構成しています *
第3回 取締役イノベーション
基調講演「人的資本経営の見直し=株主傾斜への警戒感」
開催日:2023年8月25日(金)
主催:JBpress/Japan Innovation Review
2008年のリーマンショック以降、安定志向を高めた多くの会社が人件費・設備投資を抑制し、一方で株主配当を増やすという傾向を強めています。こうした中、企業が人的資本経営を一斉に見直し始めた背景について、「人本主義」提唱者で一橋大学の名誉教授 伊丹敬之氏は「強過ぎる株主傾斜への警戒感が広がっている」と考察します。
戦後の日本型経営は本来、株主主権と従業員主権のバランスを保った「中二階」構造で、双方の「ねじれ感覚」を解消し、うまく機能していたといいます。伊丹氏は、バブル崩壊を機とした先行き不安感が企業に2つの“心理的な傷”を与え、現状の配当重視・人件費軽視へ傾いたと分析します。
2021年に株主配当総額が設備投資総額を上回るなど「異常」さが指摘される中、企業が人的資本経営に立ち返るための真の課題とは。大企業の赤裸々な反省とともに、道筋を探ります。
【TOPICS】
- なぜ今「人的資本経営」なのか
- 会社は誰のもの?株主主権に脅かされつつある従業員主権
- 企業のシステムは「二階建ての家」独自の視点で解説
- 「中二階の原理」で従業員主権を徹底的に実行する注目の成長企業
- かな漢字交じり文に天皇制、日本に根付く「中二階の原理」
- バブル崩壊で傷を負った日本企業が見誤った進路
- グラフで読み解く株主傾斜の危険なバランス
- 「甘え」「見栄」「自信のなさ」大企業幹部の懺悔を無駄にしないために