シャガールもキュビスムの画家?

 日本でも人気が高い画家、シャガールやモディリアーニの作品にも注目したい。2人ともキュビスムの運動に邁進した画家ではないが、時代の流れや流行に敏感だったのだろう。キュビスムの手法を取り入れた作品を残している。マルク・シャガール《白い襟のベラ》、アメデオ・モディリアーニ《カリアティード》。どちらも今まで知らなかった画家の一面を垣間見られる作品だ。

 さらにキュビスムの影響を受けてロシアで興った「立体未来主義」や、第一次世界大戦後にキュビスムの地位回復を目指した「ピュリスム(純粋主義)」なども紹介。ピュリスムの活動に呼応してキュビスム的絵画を描いたル・コルビュジエの作品も展示されている。

フアン・グリス《朝の食卓》 1915年10月
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Achat, 1947)
© Centre Pompidou, MNAM-CCI/Philippe Migeat/Dist. RMN-GP

 展覧会の会場である国立西洋美術館は、後に世界的な建築家として名を馳せたル・コルビュジエが設計したもの。展覧会の鑑賞後に美術館の建物をじっくり味わう時間もまた楽しいだろう。