英国から贈られたサーベルを初公開
展覧会にはもうひとつ、見せ場が用意されている。2021年に東京世田谷の静嘉堂で発見された《サーベル形儀仗刀 後藤象二郎拝領》の展示だ。初の一般公開となるこのサーベルにはこんなエピソードが残されている。
1868年3月23日、京都で明治天皇に謁見しようとする英国公使ハリー・パークスを2人の攘夷派志士が襲撃。この暴漢を土佐藩士・後藤象二郎と薩摩藩士・中井弘が討ち取り、パークスは事なきを得た。護衛への感謝のしるしとして、英国ヴィクトリア女王は後藤と中井にサーベルを贈呈。サーベルには襲撃事件の日付と、後藤象二郎の名前が彫り込まれている。この一連の出来事により日本と英国の距離は縮まり、より親密な近代日英外交がスタートしたという。
サーベルは19世紀に欧米で流行し、英国陸軍でも使われていたマムルーク剣の形式を採用。象牙製の柄にはライオンの頭部がかたどられている。刀身には細かな唐草文様のエッチング。英国流の“おしゃれ”を感じる逸品だ。