BMW iX5 ハイドロジェンに試乗

 彼らが今回、発表したiX5 ハイドロジェンは、SUVのX5をベースとしたもので、最高出力170psのフューエルセルスタックを搭載。このスタックの核にあたるフューエルセルは、提携関係にあるトヨタが開発したものだ。ここで発電された電力は最高出力231psのバッテリーに一旦、蓄えられてモーターを駆動する。いっぽう、後車軸上に搭載したモーターの最高出力は401psと余裕がある。つまり、必要とあらばバッテリーとフューエルスタックの両方からモーターに電力を供給。401psのパワフルな走りを実現しようとしているのである。

BMWのFCV「iX5 Hydrogen」の機関部
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前方動力部の構造
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 試乗してみると、iX5 ハイドロジェンは一般的なFCVよりも一段と力強い加速感が印象的。車重がプラグインハイブリッド車並みというだけあって、ハンドリングも軽快で、いかにもスポーティな走りを強調したクルマに仕上がっていた。しかも、静粛性や乗り心地も良好で、車内スペースはエンジン車と同等。航続距離は500kmと十分なスペックを誇る。

市販されないとはいえ、仕上がりは上々。システムの一部がラゲッジルームに大きくはみ出している、ということもない
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 したがって、このままでも十分、市販できそうに思えたが、おそらくはコストや生産キャパシティの問題が残っているのだろう。今回は100台弱が試作されるのみで、一般には市販されず、各国でその実用性を評価することになるという。

 EVに留まらず、様々なゼロエミッションカーを総動員してカーボンニュートラルを実現することは、多様な選択肢を自動車ユーザーにもたらすだけでなく、足腰の強靭な社会を構築するという面からも重要な意味を持っているはず。FCVの開発に取り組む各自動車メーカーの挑戦が成功することを祈りたい。