5代目プリウスの走り

 走りも大幅に進化している。エンジンとモーターの両方をパワーアップした2.0リッターのハイブリッド・システムはレスポンスが良好で、市街地から高速道路まで不満のないパフォーマンスを発揮してくれる。ただし、開発陣がしきりに自慢していた「迫力あるエンジン音」に関しては、うまく理解できなかった。低音域を強調して迫力を演出したというが、プリウスを「上質なファミリカー」と捉えれば、エンジン音は静かであれば静かなほうが好ましいのではないか。「スーパースポーツカーだって静かなほうがいい」と思う私には、大いに疑問が残った。

 ハンドリングは目覚ましい進歩を遂げていた。これまでのプリウスは、ステアリングを切り込んだとき、重いノーズが「よっこらしょ」と動いているような印象が伴ったが、新型はすっと軽快にターンインしていく。これはボディ前部の曲げ剛性を向上させた効果という。

 これに伴い、サスペンションはソフト傾向に大きく振った旧型からややソリッドな方向に改められたが、足回りが細かな振動を効率よく吸収してくれるうえに、ボディ剛性が高いため、いやな印象は与えない。

 ブレーキングがすっと決まるのも新型の美点。これは高効率ギアポンプの採用でブレーキシステム全体をシンプルに改めた恩恵という。こちらもスムーズなドライビングには欠かせない要素といえる。

 というわけで、新型は燃費を改善したうえで、デザインと走りがスポーティに生まれ変わった。プリウスというクルマの存在感を際立たせる今回のモデルチェンジは幅広い支持を獲得し、これまでと同じように新型もまたヒット作となることは間違いないように思われた。