EVスポーツカーのデザインコンセプト

 ここまでの出し物は、特にファッション業界との結びつきを示すようなものが多く、正直メルセデスとの親和性に関してはちょっとどうなんだろうと思うところがありました。

メルセデスAMGが現在開発中のEV専用プラットフォームをベースに仕立てた“ヴィジョンAMG”。4ドアクーペのスポーツカーという設定のデザイン・コンセプトである

 場所をニースからモナコ近郊にホテルに移して行われたプレゼンテーションでは、メルセデスAMGが現在開発中と言われているEVスポーツカーのデザインコンセプト“ヴィジョンAMG”がアンベールされました。ニースで見た奇抜で斬新なアイデアとは一転、こちらは極めて保守的なデザインでその差にますます戸惑ってしまったのですが、それを見透かしたかのように、チーフデザイナーのゴードン・ワグナーがスピーチを行いました。

EQS SUVの横に立つチーフデザイナーのゴードン・ワグナー。メルセデスの伝統を継承しつつ時代のモードを採り入れるという難しい舵取りを任されている

「ニースとモナコとのギャップに皆さん驚かれたかもしれません。メルセデスのデザインコンセプトであるセンシュアル・ピュアリティにはなんら変更はありません。シンプルで普遍的な美を今後もメルセデスは追求していきます。ただその過程で、シンプルで普遍的なものばかりを追い求めてしまうと視野や発想が狭くなってしまいます。

 例えばファッションのように、メルセデスとは対極に位置するような分野とコラボすることにより、まったく新しいアイデアや気づきが生まれます。ヴィジョンAMGや発表したばかりのEQS SUVは保守的なデザインに見えるかもしれませんが、ニースのような世界に寄り道したからこそ辿り着いたセンシュアル・ピュアリティなのです」

 保守の世界に留まって生み出した保守と、保守の外の世界を見てから生み出した保守とは似ているようで異なるということが、メルセデスのデザインの流儀であると彼は言いたかったのでしょう。