コロナ渦でDXが加速度的に進められた分野
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉は、新型コロナウイルスの感染拡大以前から使われていましたが、「まだまだDXは先だよね」「世の中の変化とともにうちの会社も徐々に変わっていくよ」などと話されていた企業様も多いのではないでしょうか。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、いろいろな業種・業態の方々が変化せざるを得ない状況になりました。経営者の方々は、元々はぼんやりと考えていた仕事・業務の未来を、本当に今すぐ、明日にでも決めなければいけないということを目の当たりにされたことと思います。
一方で、「外に出られない」「人と会えない」という状況を逆にビジネスチャンスだと捉え、効率化・自動化を目指したDXが加速度的に進んでいます。この1年でどのようにDXが進められてきたのか、事例を踏まえながらお話させていただきたいと思います。
この1年で最も変化を余儀なくされ、大きく変化したのは「教育」だと思っています。こちらの写真は、アメリカの大学の授業風景です。アメリカではパンデミックの前からオンライン教育が進められていて、こういった設備を既に持っていた大学も多くあります。そうした大学は、学校に通いづらい遠方に住む学生に対して、オンラインストア教育を既に提供されていたそうです。
日本の多くの大学では「キャンパスに行って授業に出て勉強する」ことが常識になっていました。しかし、コロナを機に、昨年の3月から急速に教育のオンライン化が進められています。
医療に関しても大きく変化しました。パンデミックですから、そもそも診療所に行きづらい状態です。実際に外来に行かずとも、遠隔で診療を受けられるよう、リモートでのコミュニケーションツールが発達した1年でした。
日本においてはまだ規制が多く、診療項目によっては実際に外来して先生の診察を受けないといけないケースもあります。たとえば禁煙外来であったり、心療内科での治療であったり、AGAといったような治療です。しかし、あまり接触をせずに患者の状況を確認できるような診療に関しては、この1年で遠隔での診療がかなり進んでいきました。
外科の手術はリモートでできるような技術環境がまだ十分に整備されていないので、まだまだこれからという分野になります。しかし、一部美容整形・美容に関わるような医療現場ですと、実際にオペを行っている先生の手元の映像を研修医の方々に見せるという施術の訓練を、リモートのツールを使って実施されている現場もあるそうです。この辺りの領域も今後大きく変わっていく要素があると思っております。
製造現場でもリモートツールの利用が進んでいます。業務としては、「最少人数で現場に出向いて作業を行う」「最少人数で製造工程を確認する」といったスタイルを多くのメーカーが実施されています。
こうした動きを支えるものとして、「リモートでの職場環境の提供」も企業の中で進んでいます。「ワーケーション」などの環境づくりをしながら、従業員の働く場所や住む場所に左右されずに業務を進める企業もだいぶ多くなってきました。
立法の場・政治の場でも、こうしたリモートのツールは日常的に使われております。国際会議の場では、ビデオ会議が当たり前のように使われるようになりましたし、選挙活動でもZoomのようなビデオ会議のツールが広く普及してまいりました。これも今後のDXを支える一つの要素になるかと思います。
一般の利用に関しても、「外出できない」「密を避ける」ということで、プロスポーツ観戦や、アーティストのコンサートといった大型イベントにも大きな影響が出ました。
一部のプロスポーツ観戦やイベント・コンサートに関しては、既に観客を入れての開催も可能になり、徐々に規制は緩和されています。一方で、オンラインでの配信も日常的に行われるようになってきました。この領域も、DXが加速化されていった一つだと思います。