カラダの動きによって、気持ちいい音を生み出せる。そしてその音によって、カラダを動かすことがさらに楽しくなる。

 人の身体能力の可能性を音で拡げてみる。そんな発想から誕生した「MOTION SONIC PROJECT」は創業以来、音の分野でさまざまなライフスタイルやカルチャーをつくってきたソニーが、人と音楽の関係をリデザインしていくプロジェクトだ。

 10月26日に開催されたTOKYO DESIGN WEEKに登場し、大きな注目を集めたこのプロジェクトの詳細について、ソニー ブランド戦略部ブランドアクティベーション課統括課長 谷本尚逐氏(以下、谷本氏)と、プロデューサーを務める野崎樹里氏(以下、野崎氏)に話を聞いた。

野崎樹里氏(左)と谷本尚逐氏(右)

感覚・直感・本能が生み出す新しい音楽体験

「産業革命以来さまざまなものが機械化されていくうちに、私たちの動きは機械に合わせ、支配されていくようになった傾向があります。音を奏でるという行為は、はるか昔までさかのぼると、手をたたく、足を踏みならす、声を出す、などということが根源的なものだったんですよね。MOTION SONIC PROJECTはその原点に立ち返り、機械に人が合わせるのではなく、人間が本来もっている身体的な感覚や直感、本能的なものに合わせて機械が進化していけば、もっと自由な新しい表現を生むことができるのでは、という発想のもとにスタートしました」(谷本氏)。

 公表されているものはリストバンド型の実験機。配置されたマイクと六軸センサーにより動作の軌道や緩急、揺らぎなどの情報を取得する。それをPC側と通信して音にエフェクトをかけ、動きに合わせた音を奏でることが可能だ。

 本機の開発にあたりプロジェクトの発案者であるエンジニアの金 稀淳氏がこだわったのは、マイクをつけることだったという。