
プロトタイプに試乗
たとえば全長×全幅×全高は4275×1800×1640mmというからトヨタ・ヤリスやホンダ・フィットよりひとまわり大きいけれど、依然として日本の狭い道でも扱い易いサイズに収まっている。注目すべきはバッテリー容量が49kWhもしくは61kWhとコンパクトなこと。おかげで車重はシングルモーターの前輪駆動モデルが1700kg台、ツインモーターの4輪駆動モデルでも1800kg台と、BEVとしては比較的に軽量に仕上がっている。このため一充電当たりの走行距離はバッテリー容量49kWhの前輪駆動で400km以上、4輪駆動モデルは61kWhのバッテリーを搭載していることもあって450km以上と、どちらも十分なスペックを有している(前輪駆動の61kWhモデルは500km以上)。
コンパクトなeアクスルの最高出力は前輪駆動モデルで106kWないし128kW。仏馬力換算ではそれぞれおよそ144PSと174PSとなる
今回はプロトタイプ試乗会ということで、袖ヶ浦フォレストレースウェイでのみ走らせたが、乗り心地、ハンドリング、動力性能のどれをとっても合格点以上の仕上がりだった。とりわけ乗り心地は、足回りがスムーズに動いて快適なスズキらしい味わいのなかに、重いバッテリーを床下に積んだBEV特有の落ち着きが感じられて、とてもコンパクトカーとは思えない仕上がりだった。

SUVを思わせるたくましい印象のスタイリングにしても、好き嫌いは分かれるかもしれないが、プロポーションのまとまりが良好で質の高いデザインだと感じた。

問題は価格だが、これについてはスズキ関係者から「いくらくらいだといいですか?」と逆に質問されてしまった。そこで私は「補助金込みで同クラスのエンジン車+αの価格であれば売れそう」と答えた。たとえば、eビターラよりもホンの少し小さなスズキ・フロンクスの価格は250万円台から280万円台まで。かりに、その20%高としたら340万円ほどとなる。私の答えを聞いた関係者はポーカーフェイスを貫いたのではっきりしたところはわからないが、eビターラよりもひとまわり大きいBYD アット3の価格が418万円からで、補助金などでざっと40万円の優遇措置を受けられるから、やはり補助金込みで350万円半ばという価格設定が望ましいように思える。

なお、eビターラは20205年夏頃からインド、欧州、日本などで順次発売されるという。
全長×全幅×全高:4,275×1,800×1,640mm
ホイールベース:2,700mm
車両重量:
1,700kg(96セル 49kWhモデル)
1,790kg(120セル 61kWhモデル)
1,890kg(120セル 61kWh 4WDモデル)
最高出力:
106kWあるいは128kW(前輪駆動モデル)
128kW+48kW、合計135kW(4WDモデル)
最大トルク:
193Nm(前輪駆動モデル)
307Nm(4WDモデル)
一充電走行距離(WLTCモード計画値):
400km以上(106kWモデル)
500km以上(128kWモデル)
450km以上(4WDモデル)
0-100km/h加速:
9.6秒(106kWモデル)
8.7秒(128kWモデル)
7.4秒(4WDモデル)
駆動方式:前輪駆動 / 4WD
定員:5名
価格:未定
