テストコースで見せるコントロール性

 そうした優れたシャシー性能は、グッドイヤーのプルービンググラウンド(テストコース)でも遺憾なく発揮された。

 グッドイヤーは12チリンドリ専用のイーグルF1スーパースポーツをフェラーリと共同開発。その開発の舞台となったのが、ルクセンブルクに建てられたグッドイヤーのプルービンググラウンドだったのである。12チリンドリの国際試乗会がルクセンブルクで開催された最大の理由も、ここにあったと見られる。

 このプルービンググラウンドで12チリンドリが示した走りも、実に印象的だった。前述した俊敏なハンドリングが高速コーナーでも一切、神経質な反応を示さなかったばかりか、走行中に降り出した夕立のなかでも安定したウェットグリップを発揮。これに気を良くしてさらにペースを上げれば、アンダーステアで前輪がグリップを失いかければステアリングから微振動が伝わるいっぽうで、オーバーステアで後輪が流れ始めようとすればそのスムーズなスライドがシートを通じて感じられるといった具合で、実にコントロール性が高かった。

 そして、ここにV12エンジンが奏でる、泣き叫ぶようなエグゾーストノートが加わる。その滑らかな音色と、9000rpm付近まで一気に吹け上がる回転フィールは、マラネロ製自然吸気V12エンジンだけが持つ魅力。彼らが血眼になってその開発を続ける理由も、12チリンドリに乗ればたちどころにして理解できることだろう。

フェラーリ 12チリンドリ試乗動画は大谷達也氏のYouTubeチャンネルThe Luxe Car TVで公開中