取材・文=TEAM GOKUH 取材協力=春燈社(小西眞由美) 写真=伊勢志摩観光コンベンション機構

リアス式海岸と島々が美しい、伊勢志摩国立公園

伊勢志摩国立公園は海の魅力でいっぱい

 伊勢志摩国立公園は、三重県中央部の志摩半島と、その周りに広がる国立公園。伊勢市、鳥羽市、志摩市、南伊勢町にかけて、約6万haという広大な公園です。

 公園は大きく2つのエリアに分けられ、ひとつは、伊勢神宮と背後に広がる自然豊かな森林環境を中心とした内陸のエリア。もうひとつは小さな入り江と岬が無数に点在するリアス海岸の海沿いのエリアです。

 今回は鳥羽湾を中心に、海の生きものとふれあうことができる、海沿いエリアのおすすめスポットを紹介します。

 鳥羽湾や英虞湾などの入り江では、たくさんのウミネコやセグロカモメなどの群れが飛び、熊野灘沿岸部は岩礁や断崖、岩棚が多いため、魚食の猛禽類であるミサゴをはじめ、ウミウ・イソヒヨドリ・オオミズナギドリ・クロサギなどの珍しい鳥が生息しています。

 また、砂浜海岸ではアカウミガメが上陸し、産卵しています。

 磯でもカメノテやフジツボの仲間が多く見られ、イセエビも生息しています。干潮時にできる潮だまり(タイドプール)にはイソギンチャクやエビ、ハゼなどが見られ、磯の生態系を見ることができます。

 

観ているだけで癒されるジュゴン

鳥羽水族館外観

 伊勢神宮参りの前後にでも、ぜひ立ち寄っていただきたいのが三重県鳥羽にある鳥羽水族館です。伊勢神宮からは車で約22分、電車利用だと伊勢市駅からJR参宮線で約22分の鳥羽駅(近鉄でも)下車で徒歩約10分。鳥羽湾に面した鳥羽水族館は飼育種類数が約1200種と日本一多く、なかでもジュゴンは鳥羽水族館とシドニー水族館に1頭ずつが飼育されるだけ。世界的にも絶滅が心配されているため、とても貴重な存在です。

鳥羽水族館で飼育されているジュゴン

 ジュゴンはクジラに似た哺乳類の大型草食獣で、亜熱帯から熱帯にかけての浅く温かい海に生息し、おもに海草を食べています。前肢で子を胸に抱いて乳を飲ませる姿が人間に似ていることから、人魚伝説のモデルになったともいわれています。天然記念物に指定され、また、絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)に登録されているジュゴン、ぜひ間近で観てください。ゆったりと泳ぐ姿に癒されます。

 水族館にはジュゴンと同じ草食性の海獣・アフリカマナティーもいます。やはり絶滅が危惧され、日本では鳥羽水族館でしか見ることができない生きものです。また、どうして水族館に?と思うカピバラやスナドリネコなど、実は水辺で生活する生きものもたくさん展示され、アシカやセイウチの愉快なショーも開催しています。

*鳥羽水族館 https://aquarium.co.jp/