文=のかたあきこ 写真=星野リゾート、のかたあきこ

湖畔に佇む三角屋根の湯小屋は「界 ポロト」を象徴する建物

北海道遺産の「モール温泉」を客室露天風呂で堪能

客室の温泉露天風呂で雪化粧の大自然と対面する

 新千歳空港から車で約40分。「界 ポロト」は白老(しらおい)町のポロト湖畔に2022年1月14日に誕生した。ポロト湖はアイヌ語で「大きな湖」を意味する。湖の南岸に位置し、全42室がレイクビュー。眺めのいい温泉旅館だ。

アイヌ文様やアイヌ彫りから着想を得たデザインが施された客室

 客室は全室が地域色豊かな「ご当地部屋・□の間(しかくのま)」。アイヌ民族の家屋「チセ」から発想したという炉を模したテーブルを中心に、壁にはアイヌ文様やアイヌ彫りから着想を得たデザインを施すなど工夫を凝らす。

客室露天風呂から結氷したポロト湖や雪の樽前山が眺められる

  42室のうち15室には温泉の露天風呂が備わる。ポロト湖や樽前山などの四季が湯船から満喫でき、特に湖が結氷する冬は美しい。景色とともに楽しむのは、「モール温泉」の名で親しまれる弱アルカリ性単純温泉。植物性の有機物を多く含む温泉は、北海道遺産に選ばれている。

三角屋根の湯小屋。アイヌ民族が家を建てる時の三脚「ケトゥンニ」を基本構造にしている

 湖畔に立つ三角屋根の建物は、男女別の温泉浴場「△湯(さんかくのゆ)」がある湯小屋。丸太を組んだ三脚で屋根を支えるアイヌ民族の建築「ケトゥンニ」を基本構造にしている。内部はトドマツの丸太で組まれ、高さは9.5メートルある。

三角屋根の天窓から光が差し込み幻想的

 とんがり屋根の内湯には、ぬる湯とあつ湯の二つの浴槽がある。交互に入浴をすることで血行促進につながり、心身がリフレッシュする。茶褐色でとろんとした肌心地だ。ナトリウムや炭酸水素塩を含むため、体の芯まであたたまる。三角屋根の天窓から光が差し込み、色付きの温泉を照らしている。モール温泉特有の、土のような、植物のような香りにも癒される。

湖に浮かんでいるような露天風呂は最高の開放感

 露天風呂は内湯の湯船からそのままつながる造り。進んでいくと次第に、外の景色が広がり最高の開放感だ。日中は山並みや青空を、夜は星や月を眺められ、湖風に吹かれ、大自然を感じながらのんびりと寛げる。

 湯上がり処で行われる、スタッフによる入浴指南や早朝のストレッチもオススメだ。また敷地内には洞窟を思わせる大浴場「◯湯(まるのゆ)」があり、ここではドーム天井から差し込む光の中で神秘的な湯浴みが楽しめる。