今年はグランパレ・エフェメールで

 シャネルは長年ショー会場として使っていたグラン・パレが改修工事のため、代替スペースとしてグランパレ・エフェメールでショーを披露しました。インビテーション以外にショー24時間前のPCR検査の陰性証明が必要、入り口では高性能マスクを渡されるという徹底した感染対策でした。

 会場に入ると巨大な円のオブジェがくるくると回り、天井にはグラフィカルなバルーンが揺れています。遊技場に来たようなワクワクする演出です。グラン・パレの3分の1ほどのスペースに曲線を描く客席は、1m間隔でゆったりと並んでいます。

 アーティスト、グザヴィエ・ヴェイヤンが演出する空間で、巨大な楽器をミュージシャンのセバスチャン・テリエが演奏する中、メゾンのアンバサダーであるモナコ王室のプリンセス、シャルロット・カシラギが、馬に乗ってランウェイを滑走するというドラマチックな演出でスタートしました。

 そんな「自由を感じる場」で、フリルやフリンジなど軽快なディテールをふんだんに取り入れたルックが登場します。

 サマーツィードのミニドレスの袖は羽で揺れ、ミニマルなルックにクチュールらしい装飾が加わります。パンツスタイルが多く登場したのですが、ロングジャケットに合わせるパンツは、レースや透ける素材でしなやかさを演出しています。アイコンモチーフであるカメリア刺しゅうのドレスには、ミドルフジャケットを合わせクールな着こなしを演出しています。

 全身にシルクオーガンザと羽飾りのフリンジを付けたリトルブラックドレスはシャネルらしいリアルモードの作品です。「私はスタイルを残したい」と言っていたココ・シャネルの確立されたスタイルが継承されています。フィナーレには、清楚なストラップドレスのモダンウエディングが登場しました。