※本コンテンツは、2021年3月17日に開催されたJBpress主催「第5回 ワークスタイル改革フォーラム」Day1のセッションⅡ「社員の個性・才能を発掘!先進企業の事例から学ぶDXで実現するタレントマネジメントとは」の内容を採録したものです。

株式会社カオナビ
取締役副社長 COO
佐藤 寛之氏

1900社以上がタレントマネジメントを導入

「当社がクラウド人材マネジメントシステム カオナビの事業を開始した当時は、まだタレントマネジメントという言葉を聞く機会は多くありませんでした。しかし、働き方改革が加速し始め、さらにコロナという外的要因が影響し、このようなHRテクノロジーを使って社員の生産性を高めることが着目されるようになっています」と、株式会社カオナビ 取締役副社長 COOの佐藤寛之氏は講演を始める。

 実際に、多くの企業がカオナビを採用しており、「事業開始から8年で約1900社以上の導入実績があります。トヨタ自動車など日本を代表するエンタープライズ企業からサイバーエージェントのようなベンチャー企業まで、業種・業態、企業ステージの違いによらず、カオナビのようなツールが利用される時代になってきました」

 既にタレントマネジメントという言葉も一般化してきているが、その中でのカオナビの特色はどのような点なのか。

「カオナビは、人材配置、人事評価、人材採用、人材育成、離職防止などのタレントマネジメント領域に特化しています。また、当初からクラウドで提供しているため、タブレット端末やスマートフォンなどで利用できます。柔軟なカスタマイズが可能なため簡単にデータベースをつくることができます。また、マニュアル不要でITに不慣れな方でもSNS感覚で使えるUIも特長の一つです」と、人事部門だけでなく、経営層や現場の担当者など、さまざまな立場の人が必要な時に必要な場所で使えるようになっている。

 カオナビはその名の通り、社員の顔写真が並ぶデータベースだが、そこにはさまざまな情報がひも付けられており、「表計算ソフトや基幹システムに散在している個人の情報をドラッグ・アンド・ドロップでつくるデータベースによって一元管理し、把握することができます。また、検索して若手社員だけをリストアップすることも可能です。組織のバランスを並べて見たり、評価調整をしたり、さらに異動のシミュレーションなども行うことができます」と佐藤氏。シミュレーションでは、組織ごとの人件費の合計なども比較でき、スキルやエンゲージメント、女性の管理職の組織ごとの数なども、リアルタイムで把握できる。

「テレワーク、生産性改善、人材不足など、現代のさまざまな人事課題にカオナビは対応できます」と佐藤氏は紹介する。

刻々と変化する人材情報を一元管理できる

 コロナ禍で、多くの企業でタレントマネジメントに対する関心が高まっている。「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性:ブーカ)の時代における環境変化の速さや不確実性によって価値観や市場の変化が大きく加速しています」と佐藤氏は話す。

 具体的には社員の価値観の多様化、経営環境の変化、労働市場の変化などで、むろん、いずれもコロナ以前からあったことだが、「テレワークの導入など、コロナ禍により目の前の現実として直視せざるを得なくなり、一気にここにかじを切ろうという企業が非常に増えています」

 特筆すべきは現在、就労人口の大半をミレニアル世代が占めるようになってきていることだ。「社員の多くが、インターネットが存在することが当たり前の時代に育った世代になっています。タレントマネジメントについても、テクノロジーを活用し、スピーディーに実行していくことが求められます。ここで大切なのは、情報がオープンであること、ジョブローテーションなど社員一人一人にカスタマイズされていること、そして、フィードバックなどが年1回や半年に1回ではなくリアルタイムに提供されるなどのリアルタイム性です」と佐藤氏は語る。カオナビのようにITを活用したタレントマネジメントシステムの導入が進んでいる背景にはこのような変化があるというわけだ。

 その一方で佐藤氏は「単にツールを導入し、グラフ化したからといってタレントマネジメントができるわけではありません」と指摘する。なぜなのか。「私たちが8年以上、さまざまな企業のタレントマネジメントをお手伝いしてきて感じることは、人材情報の多くは組織に眠っているということです。これをオープン化し、人事だけでなく経営や現場と共有し、会社全体の動きとして組織の潜在能力を最大化する、これがタレントマネジメントのポイントです」。つまり、人事部門だけでタレントマネジメントを行うと失敗しがちで、人事部門が他の部門を巻き込んで、全社的な取り組みとして推進していくことが大事なのだという。

 とはいえ、人材情報は多種多様だ。どのようなデータを集め、一元化すればいいのか。「『MUST』、『WILL』、『CAN』の3つのフレームワークがよく知られています。『MUST』は異動、役職、等級などの発令データですが、これはきちんと管理されているでしょう。大切なのは『WILL』と『CAN』の情報も掛け合わせ、人材情報を多面的に捉えることです。ここで注意すべきは『WILL』と『CAN』は刻々と変化するということです」と佐藤氏。これは、その情報の旬を捉えなければならないというわけで、ここにあらゆる立場の人が使え、データの鮮度と解像度を保ち続けることができるカオナビが支持される理由もある。

会社と社員の信頼関係構築にも役立つ

 講演では、実際にカオナビを活用しタレントマネジメントを実践している企業の事例も複数紹介された。

 サカイ引越センターでは、記憶に頼る人材管理に限界があり、社員の情報把握が困難になっていたという。社員の適性配置にこだわっていたが、情報不足によりミスマッチ人事が課題になっていた。「そこで、打ち手としてカオナビを利用し、年10回以上のアンケートを行い、社員のパーソナリティーを収集しました」

 カオナビには、社員の自己申告やキャリア情報などについて尋ねる際、ドラッグ・アンド・ドロップだけで、フォームを作成しアンケートができる機能がある。同社ではそれを利用し、社員がどのような知識やスキルを習得したのか、さらに今後のキャリア志向などを尋ねたという。

 といっても、ここまでなら多くの企業でも行っているだろうが、「同社が他社と大きく異なるポイントは、年10回以上もアンケートを行っても社員からの回収率が下がらず、意味があるデータを集め続けられていることです。その理由は、アンケートに答えると、その後にきちんと人事部門や経営がフィードバックを行うからです。それにより企業と社員の信頼関係をつくっているのです」。この信頼関係がベースにあるからデータが集まってくるし、それに基づいた施策も実行できるわけで、「システムを入れて終わりではなく、システムでできることをやりつつも、その後どのように組織人事を回していくかが大切」というのだ。

 次の事例は近鉄グループホールディングスで、社員は出向が多く、ホールディングスとのやりとりなどをする機会が少なく距離感を感じていたという企業だ。特に若手社員には不安を感じる人も多く、「ホールディングスとしてシナジーを生み、エンゲージメントができるコミュニケーションを図ってきたいとカオナビを導入されました」

 従来の人事システムにもデータは入っているだろう。だが、給与や勤怠も付いているような人事システムでの場合、事業会社ごとにプロパーの社員もいて人事制度も異なるので統合は容易ではない。「そこで、社員の連絡先や職務経歴などの情報をカオナビで共有するようにしました。社員が自己申告することで情報を把握したり、意見を吸い上げたりすることができるようになり、出向社員の不安を解消し、離職数を低減することにもつながりました」と佐藤氏。必要な時に必要な人とのコミュニケーションが容易になり、ホールディングスの人事が面談しフォローする環境もつくったといい、カオナビを通じた自己申告により、本人希望も考慮した異動に活用されている。

便利な機能がさまざまな用途に活用

 日清食品ホールディングスは、早くからグローバルタレントマネジメントに取り組んできた企業として知られるが、それでも課題はあった。悩みを持つ社員を上司や人事が把握できておらず、「びっくり退職」が起きていたというのだ。

 個々に対するコミュニケーションとフィードバックが不十分だったため、「上司と部下の1on1のミーティングを実施し、ミーティングの実施状況や効果はカオナビのパルスサーベイで行いました」と佐藤氏。

 昨今、テレワーク下において、1on1のミーティングを実施する企業も増えているが、上司と部下の間のコミュニケーションがブラックボックス化しがちなのだという。「上司と部下の関係を斜めからフォローするような仕組みが必要ですが、その際にカオナビのパルスサーベイ機能なら、短時間で調査を行い、問題を発見できます」。フォローすべき社員の「フラグ立て」もできるので、悩みに応えたり、優良社員の突然の退職などを防いだりすることが可能になるのだという。

 ホンダロジスティクスはカオナビを通じて計画的なジョブローテーションを実施している。「同社では『MUST』、『WILL』、『CAN』を社員から集めた上で、『カオナビ』上で人材やスキルを可視化、組織図を使いながら経営の意向、本人の意向、現場のマネジメントの意向を掛け合わせて戦略的なジョブローテーションを行っています」

 会社としては経営人材を育成したいというニーズがあるが、それが現場のマネジメントや社員本人の意向とは合致しないこともある。「そのバランスが大事ですが、カオナビならこれらを可視化し定量的なデータをもとに判断できます」

 最後の事例は阪急阪神不動産だ。同社は3社が統合して誕生した企業だが、社員同士がそれぞれの顔や業務内容を知らないという課題があった。そこで、「同社では社員のデータベースに顔写真だけでなく、職務、趣味、特技、性格診断などを本人の許可のもと掲載しています。これにより社員同士のコミュニケーションが活発化しました」と、カオナビの新たな使い方をしているそうだ。

 佐藤氏は「幾つかの事例を紹介しましたが、カオナビをどう使うと課題が解決するかというノウハウもセットで提供できるのが当社の強みです。ぜひご相談ください」と結んだ。

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