刻々と変化する人材情報を一元管理できる
コロナ禍で、多くの企業でタレントマネジメントに対する関心が高まっている。「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性:ブーカ)の時代における環境変化の速さや不確実性によって価値観や市場の変化が大きく加速しています」と佐藤氏は話す。
具体的には社員の価値観の多様化、経営環境の変化、労働市場の変化などで、むろん、いずれもコロナ以前からあったことだが、「テレワークの導入など、コロナ禍により目の前の現実として直視せざるを得なくなり、一気にここにかじを切ろうという企業が非常に増えています」
特筆すべきは現在、就労人口の大半をミレニアル世代が占めるようになってきていることだ。「社員の多くが、インターネットが存在することが当たり前の時代に育った世代になっています。タレントマネジメントについても、テクノロジーを活用し、スピーディーに実行していくことが求められます。ここで大切なのは、情報がオープンであること、ジョブローテーションなど社員一人一人にカスタマイズされていること、そして、フィードバックなどが年1回や半年に1回ではなくリアルタイムに提供されるなどのリアルタイム性です」と佐藤氏は語る。カオナビのようにITを活用したタレントマネジメントシステムの導入が進んでいる背景にはこのような変化があるというわけだ。
その一方で佐藤氏は「単にツールを導入し、グラフ化したからといってタレントマネジメントができるわけではありません」と指摘する。なぜなのか。「私たちが8年以上、さまざまな企業のタレントマネジメントをお手伝いしてきて感じることは、人材情報の多くは組織に眠っているということです。これをオープン化し、人事だけでなく経営や現場と共有し、会社全体の動きとして組織の潜在能力を最大化する、これがタレントマネジメントのポイントです」。つまり、人事部門だけでタレントマネジメントを行うと失敗しがちで、人事部門が他の部門を巻き込んで、全社的な取り組みとして推進していくことが大事なのだという。
とはいえ、人材情報は多種多様だ。どのようなデータを集め、一元化すればいいのか。「『MUST』、『WILL』、『CAN』の3つのフレームワークがよく知られています。『MUST』は異動、役職、等級などの発令データですが、これはきちんと管理されているでしょう。大切なのは『WILL』と『CAN』の情報も掛け合わせ、人材情報を多面的に捉えることです。ここで注意すべきは『WILL』と『CAN』は刻々と変化するということです」と佐藤氏。これは、その情報の旬を捉えなければならないというわけで、ここにあらゆる立場の人が使え、データの鮮度と解像度を保ち続けることができるカオナビが支持される理由もある。