印刷業界はこれからもっともっと面白くなる

ーー変化にどう対応しているのでしょうか。

大洞氏 当社は印刷色が強くならないようにリブランディングして、ロゴから「印刷」という文字を消しました。印刷物を使ってサービスを提供する会社、「プリント・サービス・プラットフォーマー」を目指すことを決めました。

 最終的なものは、箱でも、フォトブックでも、クリアファイルでもなんでも良いんです。それらを提供するプロセスが大切です。これからの世の中のキーワードは「つながる」ことです。お客様とつながりやすいプラットフォームを提供していきます。お客様からのお金のいただき方も変わっていくと思います。

小松氏 当社は販促支援に注力しています。お客様が物を売るのにどんな方法が最適なのか、コミュニケーション手法も含めて提供しています。その中で紙を使うこともありますし、メールを使うこともあります。お客様の顧客データベース構築を担当させていただくこともあります。

 紙に捉われていては仕事の取り合いになりますから、違う切り口からアプローチしています。印刷でもデジタル印刷機を使った可変印刷など、ひと味違うサービスを提供しています。

林氏 今の事業の柱は大きく3つあります。出版印刷、商業印刷、そして写真です。昔と比べると売上の構成比率は大きく変わってきていて、フォトブックやフォトアルバムのような印刷物がないビジネスも増えています。

 最近では、既存のサービスを組み合わせたり、新しいサービスを組み込んで、お客様ごとに違うサービスを作っていくというアプローチがこれからのあるべき姿ではないかと考えています。

――印刷業界は大きく変わりつつあるということですね。

小松氏 人材不足は印刷業界に関わらず日本全体の問題でこれからも続いていきますから、ロボットやAIを使った自動化はさらに進むでしょう。製造業としてここにも取り組まなければなりません。ただ、情報を集めて、想いを描き、表現していくのは人間です。印刷業界にもそれが求められていますし、それができる環境や技術が整ってきました。これからますます面白くなると思いますよ。

大洞氏 私は世の中に足跡を残してきたいですね。本当の意味で世の中の役に立つ仕事がしたい。大量のチラシを印刷して配ることは、極論すればゴミを作っているようなものです。印刷会社の都合を押し付けるのではなく、本質を見て意味のある仕事をしていきたいと考えています。

林氏 今まで私たちは印刷のスペシャリストでしたが、これからは顧客を知っているスペシャリスト、プロデューサー的な役割を果たしていくべきだと思います。サービスがあって、その上で物があり、それがたまたま印刷物だったという形です。お客様のためにサービスを構築することを楽しんでいきたいですね。

【事業紹介】※50音順

大洞印刷株式会社
印刷物の提供ではなくお客様を真の成功に導くため、業績向上を達成するための販促活動のサポートやセールスを後押し。製品やサービスの魅力を伝える、新しいコミュニケーションのアイデアを具現化するため、8 0 年以上の経験と独自の特殊印刷技術、EC で培ったIT・Web マーケティングの知見を駆使して、今までにない付加価値を生み出すプラットフォームなど、お客様のビジネスに次の「違い」を創造する。

錦明印刷株式会社
単にキレイだけでないビジネスで効果を出すための印刷物の商品価値向上や、企業が見込客創出・維持を行うために必要なマーケティングサービス、業種毎に異なった業務フローの改善を通して、効率化UPを目指すなど幅広い事業を展開。

株式会社小松総合印刷
顧客情報の収集・分析を行い、ROI(Return On Investment:投資収益率)を意識した効率の良い販売促進を提案。特殊印刷で培った品質管理も万全。マーケティングサポートからプランニング・制作・クロスメディアの対応・レスポンスの高い特殊印刷等、販促など幅広く展開。