文=松原孝臣
フルーレ、エペ、サーブルの違い
北京オリンピックで日本選手の活躍が期待される競技にフェンシングがある。
フェンシングは中世の騎士の剣術がルーツとされ、フランスで生まれた。ヨーロッパで人気を誇り、また世界中に広がった競技だ。
その構造はシンプルだ。向かい合って立った2人の選手が剣で相手の体を突いて勝敗を決める。1回突けば1点、個人戦は15点を先にとるか3分間×3ラウンドを終えて得点の多い選手が勝利となる。1チーム3人(+リザーブ1人)の団体戦は、それぞれが3ラウンドを戦い計9ラウンド。45点を先取したチームないしは終了時点で点数の高いチームの勝利となる。
フルーレ、エペ、サーブルの3種目がある。それぞれ剣のタイプが異なりルールも違う。
フルーレは突きのみが有効。得点になる範囲を「有効面」と言うが、フルーレの有効面は顔面と腕を除く胴体のみとなっている。2008年北京オリンピックで太田雄貴が日本フェンシング初のメダルとなる銀メダルを獲得したことで、フェンシングの中で日本でいちばん知られるようになった種目である。
エペも突きのみが有効で、顔面から足先まで全身のどこを突いても得点となる。どこでも突いていいため、リーチの長い選手が有利だとも言われる。
サーブルは、突きだけでなく「斬り」も認められる。そのため、ダイナミックな攻防がみられる。有効面としては上半身のみとなっている。
もう1つ知っておきたいのは、フルーレとサーブルには「優先権」があるということ。先に攻撃を仕掛けた側が優先権を得る。攻撃された側は防御に成功すると優先権を奪える。
優先権がどのようなときにいきるかというと、フェンシングは電気審判機により、有効面にあたればランプがつく(白ランプは無効面へのものであるため得点にならない)が、例えばフルーレで両者が突きあい、両方が相手の有効面を突いて双方にランプがついたとき、優先権を持つ方の得点になる。
種目ごとにルールの違いなどがあるとはいうものの、最初に記したように、ゲーム自体はシンプルなもの。選手同士の駆け引き、相手をかいくぐる技術などを楽しむことができる。