文=甲斐みのり 撮影=平石順一

素材それぞれの特徴や旬を活かした製品

 大阪・京都・東京と都市部で暮らすようになって嬉しかったのが、まちなかにいくつも商店街があること。静岡の地元ではいつもスーパーで買い物をしていたので、商店街に建ち並ぶ、八百屋、肉屋、魚屋など、個別の専門店で買い物できることに、今でも喜びを感じています。中でも驚いたのが、おでん種の専門店。おでん種やさつま揚げを個別に購入できるので、好きな具材を選んで、自宅用や手みやげに活用しています。

 この冬、自宅用にも贈りものとしても、とびきり嬉しかったのが、吉祥寺で昭和20年から続く「塚田水産」の「おでん詰め合わせ」。

 塚田水産は吉祥寺駅北口の商店街・サンロード内にあり、周囲は、ようかんと最中が名物の「小ざさ」や、松坂牛のメンチコロッケ求めて行列ができる「吉祥寺さとう」と、名店揃い。塚田水産の店頭には、いか、えび、チーズなどの具を混ぜた魚のすり身に、パン粉をつけて揚げた「吉祥寺揚げ」など食べ歩きができるものもさまざま並んでいます。

 スケソウダラはじめいろいろな魚のすり身を用いた、おでん種やさつま揚げには、定番以外にも、季節の食材をふんだんに使い、中には組み合わせの妙に感動するものも。個人的には、チーズ、とうもろこし、うずらの玉子、しらす、みょうが、しょうがなど、見かけると買わずにいられません。全て自家製を貫いているからこそ、素材それぞれの特徴や旬を活かしたユニークな製品を生み出せるのでしょう。

 家族みんなが安心して味わえるように保存料不使用。常時、新鮮な油を使っているのも、長年愛される理由です。おでん種とさつま揚げは農林水産大臣賞を2回も受賞してるというのもうなづけます。

 そんな老舗の箱入りおでん3~4人分の詰め合わせを、今回初めてお迎えしたのですが、箱を開けた瞬間に「わっ」と感嘆の声がこぼれました。

おでん詰め合わせ(5800円セット)3~4人分(おでん種11種・34個入り+おでん汁付き) 販売=塚田水産

 中身は、しらす枝豆×2、キノコ天×2、玉ねぎ天×2、揚げボール×5、ゴボウ巻き×3、チーズ巻き×3、がんもどき×3、餅巾着×3、イワシつみれ×5、昆布×5、焼き竹輪×1。

 全部で11種、34個のおでん種に、オリジナルの瓶入りおでん出汁も1本セットでついています。普段のように店頭で選ぶのも楽しいけれど、こうして詰め合わせをお取り寄せするのも、特別な高揚感があって家族で大盛り上がり。

 玉子、大根、こんにゃくを加えて、土鍋でじっくりコトコト。付属の出汁のおかげで、簡単に彩り豊かで贅沢なおでん鍋の完成です。おでん種は煮込んでも崩れず、見た目はふっくら。どれもしっかりとしたコシがあるので、よく噛みよく味わいました。最後はうどんも入れてお腹いっぱい。あえて少し残して、翌日もたっぷり出汁が染み込んだおでんを堪能しました。

 あまりに好評だったので、お世話になっているご近所家族にも同じ詰め合わせをプレゼント。普段はあまり練り物を口にしないというお子さんも、おいしいおいしいとパクパク食べてくれたそう。「ひとつひとつがどっしり大きく、食べ応えがあって、こんなにも贅沢でおいしいおでんは初めて!リピートしたい」と、大喜びしてもらうことができました。もちろん私もリピート決定。冬の間にあと何度、味わうことができるかな。

 また、塚田水産ではなんと、海老・いか・旬の野菜・ごばう・葱・チーズ・きくらげなど、約40種類の中から好きな具材を選び、最大4つのオリジナルのさつま揚げをオーダーできる「創」というサービスも。こちらもいつか、オーダーしてみたい!