体育会系の上下関係がレースにも影響する?
体育会系特有の上下関係がレースにも影響することが少なくない。例えば、上級生と1年生が並走する場合、たいていは上級生が引っ張ることになる。おそらく1年生に引っ張らせるわけにはいけない、という先輩意識が働くからだ。
前回も3区で東京国際大・丹所健(当時3年)が5㎞付近で青学大・太田蒼生(当時1年)に追いついた後、太田が背後につくかたちになった。途中、東京国際大・大志田秀次監督が青学大・原晋監督に「後ろを引き離しましょう。前出てくださいよ」と声をかけたが、太田は前に出ることなく、終盤にスパート。丹所を引き離して、トップ中継を果たした。もし青学大の3区が3~4年生だったら、違う展開になっていたかもしれない。
駒大・大八木監督と國學院大・前田康弘監督はともに駒大OBで、師弟関係(前田監督が学生時代に大八木監督がコーチだった)であることは知られているが、今大会の〝最大派閥〟は中大になる。東京国際大・大志田秀次監督、創価大・榎木和貴監督、中大・藤原正和駅伝監督、立大・上野裕一郎監督と中大OBの指揮官が4人もいるのだ。スタート前、健闘を誓う意味で、中大OBは写真撮影をするのが恒例になっているが、今回は4人で写真に収まることになる。
立大を55年ぶりの出場に導いた37歳の上野監督は、トップ選手並みの走力を誇り、「日本一速い監督」と呼ばれている。11月25日のMARCH対抗戦10000mはペースメーカーとして出走。7000mまで学生ランナーを引っ張ると、翌日の日体大長距離競技会5000mは13分39秒95で日本人トップを奪った。なお立大には、このタイムを上回る自己ベストを持つ選手はいない。5000mでは監督の方が速いことになる。なお立大はプーマからユニフォームの提供を受けており、箱根路で初めてプーマが駆け抜けることも覚えておこう。