文=酒井政人
注目は東海大・石原翔太郎の〝復活ラン〟
第99回箱根駅伝予選会が10月15日に東京・立川で行われる。各校10~14人を選手登録。10~12人がハーフマラソンを走り、上位10人の合計タイムで争われる。今回は43校がエントリーした。そのなかで正月の晴れ舞台に立てるのは10校だ(※前回大会で10位までに入った青学大、順大、駒大、東洋大、東京国際大、中大、創価大、國學院大、帝京大、法大にはシード権がある)。
予選会のレベルは年々向上しており、今季は前回14位の上武大、同15位の城西大、近年僅差(18年12位、19年11位、20年13位)で涙してきた麗澤大がケニア人留学生を初採用。10枚のチケットは〝プラチナ化〟している。
大激戦が予想されるも、順当なら東海大、神奈川大、早大、明大の4校は通過が有力だろう。このなかでは東海大・石原翔太郎(3年)の走りに注目したい。
石原は大学1年時からダイナミックな快走を連発してきた。全日本大学駅伝は4区で順大・塩尻和也(現・富士通)が4年時に樹立した区間記録を28秒も更新。箱根駅伝は3区でトップを奪うと、区間賞を獲得した。昨季は5月に5000mで13分30秒98(当時・U20日本歴代3位)をマークして、関東インカレは1部10000mで28分05秒91(当時・U20日本歴代2位)の日本人トップに輝いている。
このまま〝日本代表クラス〟へ突っ走るかと思われたが、地獄の日々が待ち構えていた。
昨年6月に股関節を痛めるも、明確な原因がわからない。8月に恥骨結合炎と診断されると、大腿骨が2か所も疲労骨折していたことが判明した。その後は治療に専念。同学年の三浦龍司(順大)、吉居大和(中大)らライバルたちの快走を眺める日々が続いた。
昨季は三大駅伝すべてを欠場。出雲と全日本は寮のテレビで仲間を応援して、箱根は関東学連の補助員として「走路員」を務めた。エースを欠いたチームは苦しい戦いが続き、出雲は9位、全日本は11位。箱根は11位に終わり、今回は予選会からの出発となった。
痛みなく走れるようになったのは今年4月からで、そこから驚異の回復力を見せる。今季は5月にレース復帰(5000m14分12秒64)すると、7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ網走大会5000mで13分29秒21の自己ベストを叩き出したのだ。夏合宿でも両角速駅伝監督が驚くほどの〝成長〟を見せているという。今回の予選会は過去最多14人の留学生がエントリー。そのなかで奈落の底から這いあがってきた東海大のエースがどんな走りを見せるのか。