文=酒井政人
大混戦が予想される「スピード駅伝」
10月10日の出雲駅伝で学生三大駅伝が幕を開ける。出雲は6区間45.1㎞(1区8.0㎞、2区5.8㎞、3区8.5㎞、4区6.2㎞、5区6.4㎞、6区10.2㎞)。全日本(8区間106.8㎞)や箱根(10区間217.1㎞)と比べて距離が短く、区間数も少ない。前回は東京国際大が3区丹所健で抜け出して、初出場・初優勝の快挙を成し遂げている。
大混戦が予想されている今回の「スピード駅伝」はどんなドラマが待っているのか。エントリー状況から有力校の〝勝ちパターン〟を予想してみたい。
昨年優勝校の東京国際大、2強の駒大、青学大
まずは連覇を目指す東京国際大だ。前回3区で区間2位の丹所健(4年)と同6区区間賞のイェゴン・ヴィンセント(4年)のWエースは突破力十分。ただし今回は1区を3位で発進した山谷昌也(4年)、同2区4位の佐藤榛紀(2年)、同5区3位の宗像聖(4年)がメンバーから外れた。連覇を狙うには1区の走りが重要になる。今季5000mで13分41秒40をマークしている白井勇佑(2年)の活躍がポイントになりそうだ。
トラックの記録を考えると、全日本を連覇中の駒大が本命になるはずだった。しかし、5000mで13分30秒台を持つ唐澤拓海(3年)と篠原倖太朗(2年)が登録漏れ。10000m27分41秒68の鈴木芽吹(3年)がエントリーされたとはいえ、今季は一度もレースに出場していない。1500m、3000m、5000mで高校記録を持つ佐藤圭汰(1年)も9月の日本インカレ(1500mで7位)は精彩を欠いた。前回(5位)は田澤廉(4年)を最終6区に配置したが、5区終了時で8位と大苦戦しただけに、絶対エースの3区起用も考えられる。悲願の駅伝3冠を狙うには、鈴木の完全復活とスーパールーキーの快走が欠かせない。
5000m13分台ランナーを25人以上擁する箱根王者・青学大は仕上がりが非常に良い印象だ。日本インカレはエース近藤幸太郎(4年)が5000mで連覇を飾ると、10000でも中村唯翔(4年)が5位、横田俊吾(4年)が7位。9月24日の絆記録挑戦会5000mでも近藤、中村、横田、目片将大(4年)が13分40秒台で走破している。岸本大紀(4年)と佐藤一世(3年)が外れたとはいえ、鶴川正也、野村昭夢(ともに2年)ら学生駅伝未経験者が成長。出雲登録された上位6人の総合力は一番高い。ただし〝エース力〟は東京国際大と駒大より劣るだけに、1区で好位置につけて、つなぎ区間で優位に立つのが4年ぶりVの戦略になるだろう。