※本コンテンツは、2021年6月30日に開催されたJBpress主催「第2回Marketing & Sales Innovation Forum」のセッション1「カシオ計算機がグローバルで取り組む、『ユーザーファースト』の事業活動への変革」の内容を採録したものです。
(写真右)
カシオ計算機株式会社
デジタル統轄部長 兼 デジタル共創推進部長
石附 洋徳 氏
(写真左)
インキュデータ株式会社
データビジネスコンサルティング本部 本部長
田中 龍 氏
CASIOが取り組むDXの全体像
田中氏:データビジネスコンサルティング本部の田中龍です。インキュデータの事業内容を紹介します。当社は2019年10月に、ソフトバンク株式会社、株式会社博報堂、Treasure Data, Inc.の3社の共同出資会社です。企業のデータ戦略を実現するコンサルティングサービスの提供、そしてそれを実行するために必要なデータに関連する各種ケイパビリティー装備を強みとしています。
個人の趣向が多様化する社会の中で、ユーザーのライフタイムバリューを最大化するためには、企業が直接ユーザーとつながり、ユーザーの思いに企業が適切に応えられる仕組みを構築することが重要です。カシオ計算機様は、世界中にいるユーザー一人一人に向き合い、データを起点としたマーケティングや事業活動の実現に向けて全社的にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に取り組んでいます。ここからは、同社のデジタル統轄部長 兼 デジタル共創推進部長である石附洋徳氏に活動内容をご紹介いただきます。
石附氏:カシオ計算機の石附洋徳です。当社は、1957年の創業当時から受け継いできた経営理念「創造 貢献」のもと、斬新な製品・サービスを提供することで社会貢献を目指してきました。長年、製品づくりを重視した事業展開を行い、特に製品の差別化・ラインアップの充実に注力してきましたが、近年は市場環境が目まぐるしく変化しています。次第にユーザーとの距離が遠くなり、製品・サービスを通じた価値提供を実現するのも簡単ではなくなり、結果的に、ブランドに対するロイヤルティを高めてファンになって頂くのがさらに難しい時代になってきました。
このような経営課題がある中、「製品重視型」から「ユーザー価値重視型」への変革として、「ユーザーとつながる」(デジタルを活用してユーザーとつながり、豊かな体験を生む仕組みを構築する)、「ユーザーを知る」(さまざまな接点でデータを収集し、潜在的なニーズや困りごとを見出す)の2軸でDXに取り組むことにしました。
具体的な施策の一つが、2020年6月に発足させた「デジタルマーケティング部」であり、同部では二つの大きな仕組みを構築しました。一つは「User Communication Platform」、もう一つは「User Data Platform」です。
この二つの仕組みにより「One to Oneマーケティング」(一人一人のユーザーに最適な体験を個別に提供する仕組み)、そして「R-PDCAサイクル」(ユーザーとつながり、ニーズを読み取って適切に対応していくマーケティングのサイクル)を実現することを考えています。