全社横断型の組織「デジタル統轄部」を立ち上げ

 データ活用により、個々のユーザーの好みに合わせたコンテンツやオススメ製品を出し分けし、楽しいお買い物体験を生み出す「オンラインストア/アプリ」の施策、ユーザーのデータが店舗にも連携され、オンライン/オフラインを融合した買い物体験やユーザーに合わせた最適な接客を実現する「直営店舗」の施策、ユーザーの行動データなどにもとづき、最適なタイミングで適切な情報をメールや広告を通じて届ける「メール/広告」の施策など、オンラインからオフラインに至るまで、ユーザーの理解をあらゆるデータで深め、ユーザーが本当に求めているアプローチを実行することが可能になりました。

 さらに当社では、2021年4月に「CASIO Global Marketing System」を立ち上げています。当社は海外売り上げが全体の約7割を占める企業ですので、世界中のユーザーと直接つながり、適切な製品やサービスを届けるために、グローバル共通で活用できる標準の仕組みとしてシステムを構築しています。今期中には北米・欧州・中国・ASEANなど、世界中に導入予定です。

 ここまでは「狭義」な意味でのマーケティング戦略でしたが、将来の構想としては「バリューチェーン全体に対するDX」にも、マーケティング戦略を波及していく計画です。

 開発・生産・営業・CS(カスタマーサポート)といったバリューチェーンの各機能組織がそれぞれ独自にDXを推進すると、サイロ化が起こり、個別最適になることや、連携によって高い価値を生みだしにくいというような問題が生じがちです。当社は、2021年4月、開発・生産・営業・CSなどの各組織と協業して、バリューチェーンを横断したDXの推進を担う組織として「デジタル統轄部」も立ち上げました。今後は、マーケティング領域のDXのために収集したユーザーデータをあらゆる組織で有効に活用し、ユーザーに向き合い、ニーズに応え続ける業務プロセスを実現する「ユーザー中心のバリューチェーン」の構築を目指していきます。