フィッシュアンドチップスを食べたいと思ったら、夕暮れ時のボンダイビーチに行って友人と一緒にピクニックしながら食べたほうがずっとおいしいし目のごちそうにもなる。

 1次元的要素である選りすぐりの新鮮材料、2次元的要素であるテイクアウト店のコックさんの経験豊富な調理法はもちろん不可欠だが、美しい夕暮れの景色、友人との会話が加わって食事はさらにおいしくなる。こうした要素の組み合わせが、オーストラリアン・キュイジーヌを成り立たせていると言えるだろう。

ボンダイビーチ (c)Tourism Australia

 もう1つの例を挙げよう。シドニー港の真ん中に位置しているシャーク島。ウォータータクシーに15分ほど乗ると到着する、オペラハウスとハーバーブリッジの景色が素晴らしい、サメの形をした小さな島だ。

 シャーク島に行くときは、ローズベイでウォータータクシーに乗る前に近くのデリカテッセンでピクニック用ランチを作ってもらう。そして大都会の無人島で、地元産ワイン、チーズ、サワードウのローストビーフサンド、そして手作りチョコレートを頬張りながら、友人や家族と一緒に、忘れられないひと時を過ごす。

シドニー港  (c) Tourism Australia

 お金があってもなくても、オーストラリア人はこうした食事体験をずっと大切にしてきた。これこそがオーストラリアン・キュイジーヌのおいしさの秘訣であり、今では海外からの観光客も、こういった食事の仕方を楽しむようになった。

眺めの良いカフェでとる朝食

 3次元的要素から成り立つオーストラリアン・キュイジーヌを、さらにご紹介しよう。