3つのステップで生産性を向上させる

 次に山本氏が提唱したのは、「時間をつくる→データを整理する→従業員を理解する」の順で生産性向上につなげる「3つのステップ」だ。

●ステップ1:時間をつくる
 従来業務を持ちながら、新たに生産性向上の取り組みも同時に実行していくのは、時間捻出の観点から難しい。その解決方法として山本氏は「今までのやり方を変える=従来業務を効率化し、時間を捻出せよ」と要諦を示し、具体策も紹介する。

「①採用、②研修・教育、③評価、④制度企画、⑤労務、⑥給与計算、⑦社会保険、⑧勤怠管理、⑨年末調整、⑩その他など、バックオフィス業務は多岐にわたります。このうち①〜④は会社組織として『時間をかけるべき業務』、⑥と⑧は『既存のソリューションである程度のシステム化・効率化が進んでいる業務』。問題は⑤⑦⑨の部分です。
この労務、社会保険、年末調整に関わる業務は、難解な書類への記入、押印のための出社、役所への提出などを伴う労務担当者にとって面倒な業務です。こうした『紙で行われている業務』をペーパーレス化すれば多くの時間を捻出できます」

●ステップ2:データを整理する
 従業員のことを把握し、正しく理解するためには、人事情報が必要となる。しかし採用から入社・配属・就労、そして退職に至るまで、人事情報活用の領域は多岐にわたり、それらのデータが整備されず活用できない企業も多いことだろう。

「多くの企業では、縦割り業務によりデータが別の組織・場所・方法で管理されているばかりか、記載方法やルールの不統一、さらには手入力管理による入力漏れ・タイプミスも発生するなど、人事情報を活用した横断的で連続的な把握が難しい実態があります。これら『ばらばら病』『ぐちゃぐちゃ病』『まちまち病』の“人事データの三大疾病”を克服し、人事情報をきちんと管理・分析することが重要です」

●ステップ3:従業員を理解する
 また、従業員理解に欠かせないのがエンゲージメントの観点だ。エンゲージメントは、活力にあふれて仕事に打ち込む従業員の状態や、組織に対する愛着や一体感、仕事に対する満足度などを表し、「従業員のエンゲージメントを高めると労働生産性も高まる」とされていることから、昨今、特に注目を集めている。しかし実際は、従業員それぞれで動機・モチベーションは異なり、エンゲージメント向上につなげるのは容易ではない。

「そこで必要となるのが、エンゲージメントサーベイです。これは、従業員一人一人に自分自身のこと、同僚・上司との関係、仕事への負担、承認と報酬、職務、会社のカルチャーなどに関する問い掛けをするもので、これを経て従業員の状態や組織の課題を可視化できます。
サーベイでは、組織が急拡大している(あるいは急拡大しようとしている)場合、事業・組織に停滞感がある場合、多事業所・多店舗展開している場合、専門性が高い職種の場合など、ケースに応じた質問の方法があり、最終的にはクロス集計による細かい課題把握や、前回からの推移を踏まえて施策の効果測定を実施します」