3つの観点を全体感に持って整理していく
『DXの教科書』の概要を「経営戦略」「デジタル戦略」「組織戦略」の3つの観点で説明します。
DXというと、技術ありきで何ができるのかを考えがちですが、技術を起点にAIを導入すると、事業のインパクトに結びつかずに失敗に終わってしまうケースが多いです。
当社では、中長期の経営戦略を設定・明確にすることに始まり、そこからブレイクダウンして必要な技術に落とし込むアプローチを重視しています。
当社が経営戦略を支援する場合には、さまざまな選択肢があり、なかには社会課題起点で戦略を決めるアプローチもあります。社会課題起点でテーマをリストアップし、洗い出した検討領域を、インパクトがあるのか、企業理念と適合するのか、といった複数の観点で絞り込んでいきます。
このAI導入に関しては、当社の実績に基づいたフレームワークを用意しています。可視化や最適化といった目的に応じてどんなテクノロジーの組み合わせの選択肢があるのか全体感を持って捉えられるのが特長です。
当社では、最も重要な「企画・戦略立案」をはじめとして「設計・開発」を行う他、AIに関する基礎知識の習得といった「理解促進」までワンストップDX/AI導入サービスを企業向けに提供しています。
経営戦略からのブレイクダウンが進むと、デジタル戦略、つまりITやAIに必要な投資が明確になってきます。ここで1つの課題となるのがレガシーシステムの存在です。
多くの企業ではIT費用の多くをこのシステムの維持に投じており、攻めのIT投資ができない状態にあります。レガシーシステムが残っている背景には、リスクを恐れる経営層、変化を嫌う現場がいずれも現状維持を選択してしまっている実情も否めません。
当社ではこれに対してアンロック戦略と銘打った支援を行っています。レガシーシステムへのベンダーロックによる非効率を解消できれば、攻めのIT投資への予算を捻出できるはずです。これを実践するために、アンロックを可能にする人材育成をサポートします。
投資計画が明確になれば、ビジネスモデルも生まれROI(投資収益率)が計算できるようになります。ROIは既存の状態とDXを進めた状態での差分をとり、複数の選択肢を比較します。
AI投資は従来の投資と異なり、データが蓄積されればされるほど投資効果が高まる側面があるため、その点も考慮するのがポイントです。
デジタル戦略が固まったら、組織戦略を練る段階に入ります。DXが進む組織とはどういうものなのでしょうか。当社でも採用している人材発掘・育成のアセスメントを紹介します。
1つはユーダイモニア研究所が開発したユーモグラムです。2bから6aまでの10段階で、社会課題意識や成人発達段階が判断できます。もう1つは自社で開発したデジタルイノベーターアセスメントです。
デジタル度とイノベーティブ度の高さが判断できます。当社では、この2つのアセスメントを組み合わせながら、自社の意識改革や技術・スキル向上に活用しています。
アセスメントによって現状が把握できたら、それに合わせた育成を行います。当社がサポートする場合、エクサコミュニティという会員型のサービスを用意しています。
AIやデジタルの知見が得られるイベントを月に2回開催しているほか、オンライン上には事例などを紹介する動画や記事などのコンテンツがあります。
ここまで経営戦略、デジタル戦略、組織戦略についてお話ししてきましたが、それぞれに全体感を持って整理していくことが重要です。3つすべてが完成すると、社会課題の解決にまでリーチできる組織になっていくと考えています。