私が以前所属していた、ある外資系IT企業のマーケティング部門の例をご紹介しましょう。ありがちな話ですが、チームの中には何十人という人がいて、それぞれに役割が与えられており、KPIもまったく異なります。そうすると、個人個人は優秀な人が集まっていても、組織全体で見たときに、違う方向を向いている、ただの寄り合い所帯になっていて、なかなかチーム全体で共有認識のもと大きなことを成し遂げることができません。

 なぜこのようなことになってしまうのでしょうか。背景には3つの「壁」があります。1つ目は「コミュニケーション」の壁です。時間や場所の制限があり、ディスカッションをしたいときにできるような仕組みや場所がありません。2つ目は「データ」の壁です。部門によって、導入しているサービスやアプリケーションが違っているため、この情報を取りたいというときに、欲しい情報が取れず、見たい指標を見ることができません。3つ目は、われわれ人間自身が作り出している「カルチャー」の壁です。その情報や知識を知っていることが自分の価値だという認識が生まれ、それを外に共有しようとしない人が出てきます。いわゆる属人化です。そのようなカルチャーが会社にまん延してしまい、人同士が壁をつくってしまうとチームワークは生まれません。強いチーム、組織をつくろうと思ったら、この壁を破壊することが非常に重要なのです。

「受信トレイ」を「チャンネル」へ変え、
情報をオープンに

 今日これからお話をさせていただくSlackという新しいコラボレーションツールは、この壁を破壊する便利なツールです。

 Slackというとチャットツールというイメージをもっている方が多いかもしれませんが、それは違います。Slackは「全社一丸を促す基盤」です。

 Slackが正式にサービスを開始してまだ6年目ですが、IBM、オラクル、SAP、オートデスクといったグローバルな最先端のIT企業が、全社の基盤としてSlackを導入しています。IBMでは毎日、16万5000人の方がコミュニケーション、コラボレーションのためにSlackを使っており、2020年までには30万人に広げたいと目標を掲げています。

Slackを導入している企業一覧(一部抜粋)

 IT企業だけではなく、証券会社などの金融業界でも利用が広がっています。加えて、政府機関でも多く使われています。英国の司法省、米国のNASA、国務省、国防総省といったような機関の他、州政府などでも頻繁に利用されています。