今、人気のモロッコ、マラケシュ。パリから飛行機で3時間半、ヨーロッパ旅行のついでに足を伸ばせる距離で、異国情緒溢れる街並みが人気の理由だそうです。日本でもマラケシュ周遊ツアーが次々発売されているとか。そんなパリジェンヌ定番のバカンス地モロッコ、マラケシュを3泊4日で初めて訪れました。
中世にタイムトリップする優雅な空間「ラ・マムーニア」
空港を出ると高い青空の下、一面テラコッタの低い建物と緑が立ち並びます。その色から「赤い都市」とも呼ばれるマラケシュはモロッコで4番目に大きな街で、旧市街は1985年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。
滞在はホテル「ラ・マムーニア」。旧市街の真ん中に位置する1923年創業、100年の歴史があるホテルです。創業当時50部屋からスタートしましたが、数回のリノベーションを経て、現在は209室のマラケシュを代表するシンボリックなラグジュアリーホテルです。
5ヘクタールの敷地に8ヘクタールの庭を所有し、部屋からは見渡す限りの木々と鳥の囀りに囲まれています。

モロッカンスタイルの白マントのドアマンが開くアラベスクモザイクのドアを入ると真紅の絨毯に高い天井、中央に飾られた巨大なシャンデリアに目を奪われます。このシャンデリアは創業100 年の2023年にモロッコの伝統ジュエリーをモチーフに作られたアート作品で銀細工とガラスで作られています。

ロビーから広がるギャラリーと呼ばれている廊下にはゆったりとしたソファの壁に伝統ある骨董品、アート作品が並びます。中世にタイムスリップしたような内装、優雅さとモダンなおもてなしが心地よい空間です。
ラ・マムーニアでのおすすめは「HAMMAMS」ハマムと言われるモロッコの伝統的なボディケアです。シャワーとスチームバスの付いた洞窟のような個室で体を温めながら黒海の塩で全身スクラブマッサージ。スクラブ、シャワーを繰り返し最後はオレンジの花のオイルでマッサージです。一皮剥けたような激しいスクラブですが温泉に入った以上に滑らかな肌になります。その後、個室内のジャグジーでリラックスした後、モロッコオイルでのマッサージ。ヨーロッパで度々ボディマッサージを受けていますが、日本の技術者に慣れていると物足りないこともしばしば。でもこちらはすごい!たっぷり2時間のボディケアはわざわざパリから訪れても価値があるほどです。
イブ・サンローランが愛したマラケシュのヴィラ
マラケシュで訪れたかったのが「サンローラン美術館」です。隣にはイブ・サンローランが所有し晩年パートナーのピエール・ベルジェと過ごした邸宅のあるマジョレル公園があります。マジョレル公園は1923年、フランスの画家ジャック・マジョレルによって造園されました。1980年にサンローランに買い取られた公園のヴィラは「マジョレルブルー」と呼ばれるブルーとテラコッタのコントラストが鮮やかです。入り口にある池には睡蓮が咲き緑に囲まれたこのヴィラはまさに楽園です。

美術館は2017年(イブ・サンローランの死後9年目)に建てられました。サンローラン美術館はパリのアトリエだった場所にも一軒ありますが、マラケシュの方がずっと見応えがあります。ディオールのアトリエにいたサンローランがムッシュ・ディオールの突然の逝去によりメゾンを引き継いだのは若干21歳でした。23歳で独立しますがその変遷期の作品も美術館で観ることができます。ディオール時代の作品はフォルムが美しいクチュールらしい作品でしたが、自身のコレクションではテーラーリングやプリーツスカートなど女性の自由なシルエットをいち早く取り入れていました。
サンローランは「LULU」という女の子のキャラクター漫画を書いていました。赤い服に黒いソックスを履いたちょっと太っちょな女の子、そのモチーフはムッシュ・ディオールからインスピレーションを受けたとか。「LULU」の部屋も楽しかったです。
マラケシュの観光スポット、スーク
6月7月の気温は午後3時頃46度くらいになります。午前中に美術館や買い物、観光を楽しみ、午後はホテルでプールやスパを楽しむのがおすすめです。

スークと呼ばれるのはメディナ(旧市街)に広がる巨大な迷路のような市場です。バブーシュやカゴバッグ、絨毯やスパイスまでマラケシュらしい土の匂いと空気感のなかスークでお土産探しを楽しめます。女性にとっては買い物天国です。車は侵入禁止で歩くしかないのですがぜひ訪れたいエリアです。

夜はホテルから徒歩10分で行けるジャマ・エル・フナ広場がおすすめです。屋台や大道芸人で賑わう フナ広場は無形文化遺産に登録されています。またヒッチコックの映画『知りすぎていた男』のロケ地としても有名です。マラケシュは街並、建造物、人々、文化全てが魅力の街です。

ル・モロカンでのモロッコ料理
「ラ・マムーニア」ホテルにある伝統的モロッコ料理のレストラン「Le Marocain」は離れのクラシックな建物にあり民族音楽の演奏とともに本格的なモロッカンスタイルを楽しめます。
石造りの半個室の部屋で料理の説明を聞きながらゆったり食事ができるスタイルです。

シェフ、Rachid Agourayn (ラシッド・アゴライ)によるおすすめメニューをいただきました。
スターターは伝統料理Pastilla(パスティラ) です。これは結婚式などお祝いの席に欠かせない一品で、鳩肉とアーモンドが薄いパイ生地に包まれていてほんのり甘い。続いて豆のスープにダーツとペキア(一口菓子)。パンにはオリーブオイルのほかにタラゴンオイルをつけていただきます。タラゴンは化粧品に使われる貴重な高級オイルですが、ホテルの庭で育てられている自家製です。
メインは『ル・モロカン』の名物料理Tangia d’agneau (タンジアラム)です。ゴロンと蒸し煮にしたラム肉に煮込んだ野菜とクスクスが添えられています。クスクスやタジンはパリでも食べられますが、このタンジアは初めてでした。
モロッカンスタイルの料理のポーションが大きい理由は、家庭に友人が訪れて食卓を囲む習慣があるからだそうです。そんな温かい雰囲気で友人として招かれたような心地よさがありました。
他にホテル内には東京、京都を含む世界39店舗を展開するジャン-ジョルジュ監修によるピザなどがある「L‘Italien」タイ料理などを楽しめる「L’Asiatique」がありバリエーションも豊富です。軽食が楽しめるラウンジ「Le Majorell」もあります。
ゲストのためのミニシアターでは、1日2回映画が上映され、終日ホテルライフを楽しむこともできます。
自然と美術館、買い物も楽しみながらリラクゼーションできるマラケシュ。非日常を味わえる魅力的な場所です。
