アーバン・アートと現代アートに特化したドイツ初の美術館「Museum of Urban and Contemporary Art(MUCA)」。1200点以上のコレクションの中から10名の人気アーティスト作品を紹介する、テレビ朝日開局65周年記念​「MUCA展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜」が森アーツセンターギャラリーにて開幕した。

文=川岸 徹 写真=JBpress autograph編集部

「MUCA展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜」展示風景 バンクシー《アリエル》2017年

アーバン・アートの人気作が日本上陸

 秩序や清潔さが重視される日本では、壁や建物、道路、橋といった公共の場所に展開されるアーバン・アートは法律に抵触する可能性があるものとして切り捨てられてきた。だが、そうしたグレーゾーンから生まれてくるものが人の心をつかみ、熱狂的なファンを生み出すのも事実だ。

 近年、日本でも人気が高いバンクシーやKAWSはグラフィティ出身のアーティスト。彼らは自分の信念やユーモアを広めるために、住宅地や地下鉄駅構内などの壁や路面にグラフィティ、いわゆる“落書き”を施した。やがて彼らの作品はアートとして扱われるようになり、今では海外の有名オークションで億単位の値がつくことも珍しくない。

 ここ数年、日本でもバンクシーやKAWSの大規模展覧会が開催されるようになった。今回、森アーツセンターギャラリーで開幕した「MUCA展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜」は、ドイツ・ミュンヘンにあるアーバン・アートに特化した美術館「Museum of Urban and Contemporary Art (MUCA)」のコレクションを紹介する展覧会。バンクシー、KAWSをはじめ、10名のアーティストが紹介される。

 東京展は大分展、京都展に続く3会場めの開催となり、順路のスタートをKAWSが、しんがりをバンクシーが務める構成。アーティストごとに展示空間が区切られ、それぞれのアーティストの個性と世界観に没入できる。それでは、まずは2大アーバン・アーティストといえるKAWSとバンクシーについて紹介したい。