長足の進歩

 私は先代の2シリーズ・アクティブツアラーにも試乗したことがあるが、乗り心地が荒れていたうえにインテリアの質感も決して高くなく、厳しいことをいえば「これでBMWのバッジをつけちゃっていいの?」とさえ感じていた。ところが、新型は革新的ともいっていい進化を遂げていたのである。

 まず、ディーゼル・エンジンは静かなうえに回転フィールが滑らかで、1600kgに対するトルク感も十分以上。アクセルペダルに対するレスポンスも、ひと昔前のディーゼル車とは比べものにならないくらいシャープで軽快に走れる。それ以上に驚いたのが乗り心地の進化で、路面から伝わる細かい振動をサスペンションがすべてシャットアウト。さらにサスペンションが大きくストロークするような領域では、ボディをフラットに保つソリッドさも認められるのに、足回りが硬いと思わせることはほとんどなく、スムーズな乗り心地に終始する。

 しかも、この「ちょっとソリッドな足回り」はBMWらしい軽快なコーナリングにも貢献。ステアリングフィールも、「前輪駆動の作り方に手こずっていた」先代とは大違いで、洗練されていながらもインフォメーションが豊富なタイプ。おまけに運転支援システムの動作は良好で、室内スペースにもまったく不満を抱かなかった。さらにいえば、インテリアの質感はこのクラスのなかでもトップクラスといっていい。

 直接のライバルはメルセデスベンツB200dあたりだが、あちらの価格はほぼ100万円高の573万円。メルセデスベンツが誇るインフォテイメントシステムのMBUXはたしかに魅力的だけれど、BMWのインフォテイメントシステムだって決して使い勝手がわるいわけじゃない。

 というわけで、見た目は地味かもしれないが、内容は極めて濃くてコストパフォーマンスも良好な218dアクティブツアラーは、スペースユーティリティの優れたコンパクトカーをお探しの方には超お勧めのモデルといっていいだろう。