2019年4月に施行された働き方改革関連法により、働き方改革に力を入れている企業は増えている。その中でも複合機大手のリコーは、2017年から他社に先駆けて「働き方変革」に取り組んできた。制度や人材面はもちろんのこと、「働きやすい会社」から「働きたくなる会社」へとシフトするために、カルチャー(企業風土)の変革に重点を置いて施策を実行してきた。同社のコーポレート上席執行役員 兼 CHRO 兼 人事部部長を務める瀬戸まゆ子氏が、同社の働き方変革の取り組みを語る。

※本コンテンツは、2022年3月10日に開催されたJBpress/JDIR主催「第9回 ワークスタイル改革フォーラム」の特別講演1「新しい働き方を広げるリコーの試み」の内容を採録したものです。

効率と社員の“はたらく歓び”を追求するリコーの「働き方変革」

 売上高約1兆6800億円、グループ全体で約8万1000名の従業員数を誇るリコー。リコーといえば、複合機の製造・販売というイメージが強いのではないだろうか。しかし同社では、数年前からペーパーレスが世の中のスタンダードになることを見越し、メーカーからデジタルサービスを提供する会社へと軸足を移しつつある。このデジタルサービスとは、具体的にはオフィスや現場をデジタル化してつなぎ、ワークフロー全体を変革してお客様の生産性向上に貢献すること、さらに主力商品である複合機などのエッジデバイスから得られたデータを、AIなどを駆使して有益な情報に変換して新しい価値を創造するといったものだ。

 同社がこうした変貌を遂げることができた背景には、全社を挙げて取り組む「働き方変革」がある。働く時間と場所の制約を最小化する目的のもとに始まったこの取り組みは、単なる効率性の追求がゴールではない。そこには、社員がルーチンワークから解放され、創造性・独自性・個性を発揮して、「“はたらく”に歓びを」というビジョンが掲げられていた。瀬戸氏はリコーの「働き方変革」のポイントを次のように述べる。

「社員がみんな出社して働いていたころは、マネジャーはメンバーの業務状況を常に監督し、管理していました。ところが在宅勤務になると、社員同士が離れて仕事をするため直接的な管理が行き届きません。ですから、在宅勤務が前提の働き方では、上司から管理されない状況下でも、社員自身が自分の行動を管理する自律化を促せるかどうかが重要になります。社員がリモートワークでも自律的に行動できれば、マネジャーの役割も必然的にメンバーの管理から支援へと変わります。このように、当社ではマネジャーが社員の自律化を支援する関係性をつくることに成功し、在宅勤務でも社員が高いパフォーマンスを発揮できるようになりました」