プライドを持って働ける想いを持った企業であり続けたい。

-マーケティングに新しい価値を。小松総合印刷小松社長インタビュー

JBpress/2020.6.8

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  歴史のある地方の印刷会社の中にも常に時代の変化に対応し、自己変革に取り組み続けている企業は多い。そこには印刷というビジネスにこだわりを持ちながら、新たな視点で自らを見つめ直し、将来の姿を描き続ける経営者の強い意志がある。マーケティング領域における印刷の新たな価値を追求する小松総合印刷の小松肇彦社長に話を聞いた。

価格競争に陥らない新たな柱を求めて

――いただいた名刺はカラフルなデザインでQRコードまでついています。なかなか斬新ですね。
 
小松氏 これが一枚一枚違うデザインで印刷ができる可変印刷です。HPさんのモザイクというソフトを使い、HP Indigoで印刷しています。QRコードを読み込むと当社のホームページが表示されるようになっていますが、ユニークQRコードになっていて、誰の名刺からホームページにアクセスしたかのログも取れる様になっています。営業マン毎の成績が確認でき、ダイレクトマーケティングを実現するツールの一つです。

 当社ではこうした可変印刷やダイレクトメールに使う圧着ハガキ、販促ツール用のスクラッチ、スピードくじなどマーケティング活動に使う印刷物を数多く手掛けています。

――御社は1948年創業の歴史のある印刷会社です。なぜマーケティング領域の印刷物を手掛けるようになったのでしょうか。

小松氏 当社は私の父が設立した会社で、私は35年前に入社しました。チラシやパンフレット、文集、名刺、テストなどを手掛ける地方の総合印刷会社で、いわゆる地域の一番店でした。ただ、常に他の印刷会社との価格競争が厳しく、経営的には決して楽ではありませんでしたね。

 事業を拡大しようとして30年前にオフセット輪転機を導入しましたが、仕事がなかなか増やせなくて、営業エリアを広げざるを得なくなりました。本社のある長野県伊那市から高速道路を一時間ほど走っていける、甲府市や長野市などに営業に行ってチラシを受注したりしていました。それでも新規開拓をしようとすればまた直ぐに価格競争に陥って苦しくなるという悪循環の繰り返しでした。

 なんとかチラシ受注以外の方法も展開していきたいと考えて、新たなビジネスのネタを探しにアメリカに視察に行ったのが、20年ほど前のことです。10数社視察して2つのことに気付きました。普通の印刷だけでは手詰まりになることと、インターネットを使うべきだということです。

 1998年にMacでのDTPを開始して、Webサーバーを立て、翌年にはCTPを導入して製版工程はフルデジタル化していましたが、さらに2002年には6色UV印刷機を導入しました。これが特殊印刷のスタートです。2011年には、5色UV印刷機に3台のインクジェットプリンターを搭載したハイブリット印刷機を導入し、宛名やID・パスワードなどのテキスト印字を含んだ印刷へと変化していきました。また、カラー可変印刷を念頭に2014年ごろにはHP Indigoも導入するなど、新たなことにも積極的に挑んでいます。

 当時は、他社とは違うことができることを見せるためにサンプルを作って、展示会などで行商しましたね。これまでとは違う柱を作ろうと必死でした。

――その活動がマーケティング領域に発展していったのですね。

小松氏 マーケティングに関わるところまでやりたいと考えて、意識して外部とのつながりを広げて行きました。その時に、名古屋の印刷会社の勉強会でデータベースマーケティングの専門家から、そのうちOne to Oneマーケティングの時代が来るという話を聞きました。

 それに近い形で何かできないかと考えて、アメリカのデジタル印刷の推進団体の大会を視察したり、ラスベガスのマーケティング企業を視察したりしました。そこで面白いと思ったのが、今のマーケティングオートメーション(MA)の世界です。

 帰国してからデジタル印刷機やMAのツールを導入してサービスを開始しました。まだそれほど注目されていないころに幕張メッセや東京ビッグサイトに出展して、MAの分野では先駆け的な存在になることができました。