創業216年の「老舗」ミツカンのデジタル化戦略

日本企業が持続的な成長を遂げるために必要な視点、考え方

JBpress/2020.1.8

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 本コンテンツは、2019年12月2日に開催されたJBpress主催「ビジネス・アクセラレーション・フォーラム 2019 組織の生産性を高め、ビジネスの成長を加速せよ!」での講演内容を採録したものです。

株式会社Mizkan Holdings
執行役員 Chief Digital Officer デジタル戦略本部 本部長
渡邉 英右 氏

グループ方針に「デジタルを活用した変革」を掲げる

 ミツカンは江戸時代の後期、1804年(文化元年)の創業で今年、創業216年目です。グループの売上高は2446億円で、国内外に約3800人の社員がいます。

 ミツカンが創業した当時、江戸ではにぎり寿司の原型である早寿司が人気となっていました。酒造業を営んでいたミツカンの初代は、酒造の副産物である酒かすから酢を製造することに成功しました。本来捨てられるものを有効利用したという点では、当時からかなりエコだったわけです。

 ところで、ミツカンというとかなりドメスティックな企業だと思われているかもしれないですが、実はすでに海外事業比率が半分を超えています。10年ほど前から海外の有名ブランドを積極的に取得してきました。北米ではパスタソース「Ragu(ラグー)」、「Bertolli(ベルトーリ)」、欧州ではモルトビネガーの「Sarson's(サルソンズ)」などのブランドを展開しています。

 ミツカングループは2019年度から新たな中期経営計画をスタートさせました。グループ方針では、

方針①「新たな成長戦略の構築」
方針②「デジタルを活用した変革」
方針③「ミツカンらしさの浸透」

 の3つを掲げており、デジタルが方針の一つとしてしっかりと位置づけられています。

「デジタルを活用した変革」では具体的に「デジタルを、使いこなし、聖域なく、自らを改革する。生活者とより一層のコミュニケーションを図り、モノからコトへ、コトからモノにつなげて、成長戦略を推し進める。また組織と組織の壁を壊すことと、効率と効果を飛躍的に向上させることで、社内の構造だけでなく、サプライチェーンの構造も変えながら、生み出す価値を最大化する」と、明確に表しています。

これまでも、常に限りない革新・変革に取り組んできた

 ミツカンには2つの原点があります。

 1つ目は、「買う身になって まごごろこめて よい品を」で、ミツカンの「お客さまを第一に考えた品質向上」の精神を現しています。

 2つ目は、「脚下照顧(きゃっかしょうこ)に基づく現状否認の実行」で、ミツカンの「限りない革新」の精神を現したものです。

 また、グループビジョン・スローガンは、「やがて、いのちに変わるもの。」で、人のいのちの源である食品をつくっているという、誇りと責任。そんな私たちの思いから生まれた言葉です。

 限りない革新・変革の例として、終戦当時、酢は樽詰めで販売するのが一般的だった時代に、ミツカンの信頼に応え、優良な酢をお客さまに届けたいと考え、「返済に100年は掛かる」という多額の借入をして、瓶詰化を行ったことなどが挙げられます。また、先ほどお話ししたグローバル化も限りない革新・変革の例です。