40年来の薄膜技術を活用、カネカが描く「ペロブスカイト太陽電池」が身近にある未来社会
〈左〉カネカの角倉護 取締役副社長(右)と山本憲治 太陽電池・薄膜研究所長(左)。(撮影:与儀達久)/〈右〉ペロブスカイト シースルー太陽電池。ペロブスカイト太陽電池はシースルータイプへの展開も可能だ
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角倉 護/カネカ 取締役 副社長

1959年、大阪府生まれ。1987年京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了、鐘淵化学工業(現カネカ)入社。2009年高機能性樹脂事業部長、2010年執行役員、2012年取締役常務執行役員、2014年代表取締役社長、2020年取締役上級執行役員、2024年より現職。
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左が一般的な太陽光パネルを乗せた屋根。右がカネカの屋根材と一体化した太陽光パネルを利用した例。〔右の画像の出典〕カネカ
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左がシースルー太陽電池を屋根に利用した施設。右が発電素材を、ガラスの上にスリット状に作成することで、採光と発電の両方を可能にしたシースルー太陽電池。〔出典〕カネカ
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ビルの壁・窓向け太陽電池モジュール「T-Green Multi Solar」。壁用のソリッドタイプは表からは配線が見えない工夫がされており、窓用は従来のシースルー太陽電池を建材用に整形し扱いやすくしてある。〔写真提供〕大成建設
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外装システムの事例(壁面と窓を太陽電池にし改築した大成建設横浜支店ビル、右下は改築前)。2024年、カネカは大成建設と合弁会社のG.G.Energyを立ち上げ、この外装システムの拡販を目指している。〔写真提供〕大成建設
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国立競技場の天井の先端、透明な部分にシースルー太陽電池が使われている(右の赤線の内側)。200枚近くの太陽電池が約40KWの発電力を有している(数値は独立行政法人 日本スポーツ振興センターの発表値による)
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トヨタ・プリウスのルーフ型太陽電池の外観。太陽電池の電極を片面に集中するバックコンタクトという技術で、外から配線が一切見えないようにし、黒一色の屋根を可能にした
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建物の屋根、壁、窓等を利用した場合の太陽光発電量の予測。今後、太陽光発電を建物の屋根、壁、窓を利用して行えば、2020年の太陽光発電の発電能力61GW(ギガワット)を超えて、急速な伸びが可能とされている。〔出典〕太陽光発電協会「PV OUTLOOK 2050」を参考に著者作成
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屋根材一体型太陽電池モジュールのペロブスカイトを利用したサンプル。外観はシリコン系と全く同じだが、太陽電池の素材はシリコンではなくペロブスカイト。こうした素材の差し替えはカネカの得意とする薄膜技術で容易に可能だという
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山本 憲治/常務理事 太陽電池・薄膜研究所 所長 工学博士

1959年兵庫県生まれ。1983年京都大学大学院工学研究科修士課程修了、鐘淵化学工業(現カネカ)入社。1988~1990米国スタンフォード大学客員研究員、1991年工学博士、入社以来太陽電池の研究に従事、2009年太陽電池薄膜研究所所長(現在に至る)。カネカの長年にわたる薄膜技術を支える
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角倉氏は、カネカが実装にこだわる事例として、あるコンビニチェーンのアイスコーヒー用ストローを紹介する(写真左)。「実は、このストローはカネカが製造しています。プラスチック製ストローの環境負荷が問題になった時に、あるコンビニチェーンがカネカの生分解性バイオポリマーで独自に作ろうとしましたが、うまくいきませんでした。そこで、カネカが作りますということで、今は完成品のストローを納品しています」(角倉氏)。これは現在100 円ショップでも購入可能となっている。写真右が大成建設技術センター。壁面と窓はほとんど太陽光パネルだが、そうとは見えない高い意匠性を誇る。〔右の写真提供〕大成建設 
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