
労働者不足解決の糸口が見られない中、中小企業の多くは人材確保を最大の経営課題と考えている。そうした中、地方で次々と中途採用を成功させている製造業の会社がある。数年前まで人事部門が独立していなかった同社は間口を広げ、プロの力を借りることで応募から選考、内定までのフローを高速化し、高品質な中途採用を実現している。
中小企業最大の課題は「人材確保」
少子高齢化という構造的な労働力不足は、すべての日本企業共通の課題だ。2025年版中小企業白書※注1からも企業規模問わず労働力不足の深刻化の影響を大きく受けているのが分かる。なかでも、販売従事者、サービス職業従事者、建設作業者をはじめとしたいわゆる現業職での人手不足が深刻化している。
※注1:「2025年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/2025gaiyou.pdf
状況が悪化する中、大企業と横一線の採用活動を余儀なくされる実態には変化がなく、人材確保を最大の経営課題と捉える経営者が多いのは当然といえる。白書では、高水準の賃上げによる待遇改善や働き方改革が人材確保に効果的であることがデータで示されており、経営戦略と人材戦略の一体化の必要性も指摘されている。
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しかし、取り組むべき課題が山積する中で、中小企業が採用活動に十分なリソースを割くことは容易ではない。人材獲得競争が激化する現在、企業の採用戦略も根本的な変化が求められている。
中途採用となるとさらにハードルが上がる。即戦力となる経験豊富な人材の奪い合いはもともと激しい上、新卒のように一括採用ができないので、一人あたりの人材獲得コストが高くなる傾向にあるからだ。
また、募集をしてもなかなか応募が集まらないというのも実態だ。帝国データバンクの「令和5年度中小企業実態調査委託費 中小企業の実態把握に関する調査研究報告書」※注2によると、中小企業が抱える中途採用の課題として最も多いのは応募の少なさだ。応募の少なさはミスマッチの要因となり、早期退職も招きかねない。
※注2:「令和5年度中小企業実態調査委託費 中小企業の実態把握に関する調査研究報告書」https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2023FY/000317.pdf
「令和5年度中小企業実態調査委託費 中小企業の実態把握に関する調査研究報告書」より拡大画像表示
こうした状況で、人事の専任者を持たなかったある地方の中小企業の中に、中途採用を立て続けに成功させている企業がある。佐賀県に本社を構えるワイ・デー・ケー九州だ。
採用業務でも人手不足
ワイ・デー・ケー九州は、半導体産業が集積しシリコンアイランドとも呼ばれる九州の中でも交通の便に優れた立地で、半導体製造装置など産業用設備の開発・製造を行っており、現地据付までをワンストップで担うケイパビリティを有している。同社ではIoTやAIの普及による世界的な半導体へのニーズの高まりを受け、人材の確保が喫緊の課題となっていた。
同社では2020年まで、中途採用の窓口として主にハローワークを活用していた。社内から要請を受けるたびに、担当者がハローワークに求人を出すという流れだ。ただ、こうした“待ち”の姿勢ではなかなか人材が集まらず、社内からの要請に応えきれなくなっていた。
そこで、2021年からマイナビ転職の活用を始めた。マイナビ転職は、掲載求人数が月間平均2万9千件以上、会員数約852万人の転職プラットフォームだ。同社は従来から新卒採用にはマイナビを利用していたため、その信頼性と実績を評価しての決断だった。
間口を広げたことで応募数は増加した。しかし、ここから新たな課題が生じることになる。
ハローワークだけの頃と比べて激増した応募者との日程調整に、思いのほか、時間と手間がかかってしまったのだ。当時、同社には人事専門のスタッフがおらず、中途採用業務は経理や総務も担当するスタッフが兼務していたため、人的リソースがまったく足りない状況だった。
なんとか選考にこぎつけても、特に採用対象が専門職の場合は、応募者のスキルと現場が求めるものがマッチしないこともある。スキルがマッチする応募者がいた場合にも、時間をかけた選考プロセス中に、他企業からの内定を理由に辞退されてしまうこともあった。
そうした悩みを抱え、中途採用への投資を増やすことを検討しているタイミングで、マイナビの担当者からマイナビ転職 Boosterの紹介を受けた。
日程調整などは外注しコア業務に集中
マイナビ転職 Boosterとは、マイナビ転職が展開するサービスのひとつ。転職サイト「マイナビ転職」に無料で求人を掲載し、専属スタッフが応募者の中から採用要件に見合う方のみを推薦、面接の日程調整や各種連絡などを代行し、採用活動にかかる手間と時間を大きく削減できる。初期費用無料で入社時のみ費用が発生する完全成果報酬型のサービスだ。
提供:マイナビ拡大画像表示
ワイ・デー・ケー九州では、日程調整のほか、書類選考や応募者フォローの代行に魅力を感じ、よりスピーディな、採用要件や社風に合った人材の確保のために利用を決めた。
効果はすぐに表れた。まず、日程調整や書類選考に長い時間を割く必要がなくなったことで、採用要件の熟慮や面接といった、採用のコア業務に集中できるようになったのだ。採用にあたっての現場とのやり取りも加速し、他企業が内定を出す前に結論を出せる体制になった。
応募してくる人材にも変化が見られたという。求人広告作成時に共有している同社の社風や求めるスキルはもちろん、募集背景や過去の採用者・不採用者の傾向などもよく理解したマイナビ転職 Boosterの担当者が、個別にスカウトした求職者からの応募も増えたからだ。
この結果、若手や理系人材の応募が増加した。たとえば、電気設計・機械設計の技術者を募集すると、求人広告掲載のたびに複数名の面接候補者が紹介され、マイナビ転職 Booster導入から現在までの採用人数は10名を超えている。応募数だけでなくマッチング率も向上しており、技術職以外でも、総務、経理、製造管理、品質保証、資材調達など各部門の管理職候補の採用にも成功している。
採用者の中には、他社での経験が十分で地元である佐賀への転職を希望していた人物もいた。一方、土地勘がない応募者へは、マイナビ転職 Boosterの担当者が不安を解消するフォローを行った。具体的には、住居探しのアドバイスや相談にものったというもの。人事担当者だけではここまで手が回らなかったはずだ。
中小企業こそ中途採用に攻めの戦略を
こうした経験を経て同社では、2022年に人事部門を独立して発足させるなど採用体制を強化した。自社のみでの中途採用の難しさを知りながらも、取り組み次第でよりマッチした人材を採用できることに気付いたからだ。今後は、採用した人材の定着率のさらなる向上のため、選考時に社風とのマッチングをより重視したり入社後のフォローを強化したりといった施策も実施していく。こうした気付きは新卒採用にも活かしていく考えだ。
同社の事例が示すのは、中小企業こそ戦略的な中途採用に舵を切るべき時代が到来したということだ。人材獲得競争が激化する中、「待ち」の姿勢では優秀な人材は他社に流れる。企業の成長戦略と連動した採用戦略の構築こそが、次の10年を勝ち抜く競争力の源泉となるだろう。

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