近年、医療技術の進歩と人間の潜在能力を考えると、人生120年時代に到達する可能性があると言われいてます。しかし、たとえ120年生きたとしても、元気じゃなければ意味がありません。そこで健康寿命が向上できるかもしれないと噂のNMN(ニコチンアミドヌクレオチド)についてリポートします。

文=橋本優香

健康寿命が向上するといわれるNMNとは?

 ホリエモンこと、堀江貴文氏が飲んでいることで、一躍脚光を浴びたNMN(ニコチンアミドヌクレオチド)。その正体は、ビタミンB3に含まれる分子で、酸化還元反応を触媒する酵素の補酵素NADの前駆体です。

 このNMNは人間の体内でも生成されていますが、加齢と共に生成量が減少していきます。実はブロッコリー、枝豆などの食物にも含まれていますが、ごく微量。そのためかなり意識して食事を調整しないと充分な量を摂取することはできません。抗老化のためにはサプリメントなどの経口摂取や、点滴などで補給できます。

NMNはブロッコリー、キャベツ、枝豆、アボカド、キノコ、トマト、生肉、生エビなどの野菜や果物に微量に含まれているが、抗老化のための摂取となるとまず不可能だ 写真=PIXTA

NMNで「若返り効果」が起こる仕組み

 別名「長寿遺伝子」、「抗老化遺伝子」と呼ばれているサーチュイン遺伝子は、近年、老化の防止やがんの発生を抑制するなどの健康寿命の延長に繋がるという研究が数多く報告されています。しかし、サーチュイン遺伝子は老化とともに活動量が減少して普段は休眠状態でいます。サーチュイン遺伝子を目覚めさせる方法としては、カロリー制限や適度な運動が必要と言われています。

 次にサーチュイン遺伝子と関係のある「NAD+」と説明をしましょう。細胞が機能し生命を維持するのに必須な「NAD+」は人間なら誰もが持っている酵素です。ヒトには7種類のサーチュイン遺伝子が存在していますが、これらを活性化させるのNAD+です。

 しかし、残念ながらNAD+は、20代をピークに体内での生産量は減っていきます。しかし、NMNを摂取すると、体内で「NAD+」が生成されることがわかっています。つまり、「NMNが体内に満たされていると、NAD+が増え、サーチュイン遺伝子が活性化し、老化を食い止められるのでは?」と考えが世界中で噂になったのです。

まだまだ解明されていないことも多いNMN。今できることは、NMNの摂取とともに生活習慣の改善や適度な運動を行うこと

NMNを摂取すると、老化が食い止められる?

 今の段階では「NMNによって人間が若返る」というのは仮定にすぎなく、今ある結果も動物実験によるものであり、ヒトの若返り効果を期待するのは時期尚早。しかし、研究は続けられ、夢の「若返り薬」と呼ばれる結果も出てきています。

 ワシントン大学医学部の今井眞一郎教授の研究室ではマウスに1年間、NMNを投与したところ、通常のマウスに比べ、中年太り(体重増加)、加齢によるエネルギー代謝の低下、骨密度の低下、眼の機能低下など、多くの臓器の機能低下が著しく抑制されたといいます。

 NMNによる明らかな抗老化作用が確認されつつあります。加えて、NMNが糖尿病やアルツハイマーや心不全、腎不全などそのほかの疾患にも効果があることも明らかになってきました。

 少なくとも特定の機能の若返り、あるいは老化抑制の効果を期待できる、とはいえるのではないでしょうか。

 NMNのサプリメントの摂取量や商品は次回に続きます。