監修=木村有太子 取材・文=轡田早月 編集協力=永坂佳子

どんなに見た目をきめていても、不快なニオイを発していると、たちまちイメージダウン。ニオイで周囲に嫌な思いをさせることを「スメハラ(スメルハラスメント)」といいますが、自分のニオイには気付きにくいので、知らずにスメハラをしている可能性も・・・。特に30代半ば~50代の働き盛りの男性はニオイやすくなる!? 今回は順天堂大学医学部皮膚科学講座の木村有太子先生に、年代によって異なるニオイの傾向や、不快なニオイを抑える防臭ケアのポイントを伺いました。

写真=Benzoix / PIXTA

30代半ば~50代半ばに「ミドル脂臭」に変化

 男性の体臭は年代によって徐々に変化していきます。10代の思春期頃~20代の体臭の特徴は、汗腺の多い腋から出る「腋汗臭」です。発汗したばかりの汗そのものに強いニオイはありませんが、皮膚から分泌される皮脂と汗が混ざり合い、さらに常在菌によって分解されることで発する若者特有のちょっと酸っぱいニオイです。体育館やスポーツジムなどで若い男性がよく発しているニオイを想像していただくと、わかりやすいかもしれません。

 30代半ば~50代半ばになると、体臭が「ミドル脂臭」に変化します。青春のニオイともいえる若者の酸っぱい腋汗臭は多少大目に見られても、ミドル脂臭に対しては世の中の目がぐっと厳しくなります。

 ミドル脂臭は男性化粧品メーカーのマンダムが男性の体臭研究によって発見・命名したニオイです。このニオイの原因物質は、汗に含まれる乳酸が皮膚の常在菌の作用で生成される「ジアセチル」です。このジアセチルに皮脂の中鎖脂肪酸と混ざり合うことで、後頭部や耳の後ろなどから使い古した油のようなミドル脂臭が発生するのです。そのため、この年代の男性の枕や襟元にはミドル脂臭が付きやすくなります。

 これが50代半ば以降になると、いわゆる「加齢臭」に変化していきます。加齢臭は化粧品メーカーの資生堂の研究により発見された、加齢に伴う特有のニオイです。このニオイの原因物質は「ノネナール」。皮脂には加齢に伴って増加するパルミトレイン酸が含まれていて、それが酸化することでノネナールが生成され、胸や背中から加齢臭特有のニオイを発するのです。このニオイは例えるなら枯れ草のようなニオイで、ミドル脂臭ほど強い不快感を与えるわけではないと言われています。

 男性ホルモンが活発な年代は、汗も皮脂も分泌されやすいので、こうしたニオイが出やすくなるといえます。ただ、こうした体臭は年齢とともに徐々に変化していくので、例えば30代前半なら腋汗臭とミドル脂臭、50代前後ならミドル脂臭と加齢臭の両方が混じったニオイを発している可能性があります。加齢臭の年代にはまだ早いと思っていても、意外とニオっているかもしれません。