DXの進展に伴い、ITエンジニア不足が深刻さを増している。一方で、“DX巧者”と言われる企業の中には、自社で採用、育成した人材と外部のITエンジニアが役割分担して、業務の効率化や新規ビジネスの創出を図っているところもある。彼らの間で注目度が高まっているのが、ラクスパートナーズのITエンジニア派遣サービスだ。その特徴や強みについて、ユーザー企業の声と合わせて紹介する。
DXを推進する上で大きな課題となっているのが、人材不足だ。デジタル化が進み、データが取れるようになっても、 そのデータを動かす人材が不足しているため、思ったようにサービス化ができないという本末転倒の状況が、企業規模、業種業態を問わずに生じている。
その対策として第一に挙げられているのが“内製化”である。新卒採用や中途採用によってITに強い人材を増強したり、未経験者や既存社員を教育してIT人材に育成する取り組みが各社で行われている。
しかし、現実は厳しい。そもそもIT に強い人材自体が不足しているために、 簡単には採用できない。採用しても期待通りのスキルを持っていないこともある。未経験者や既存社員の育成には 教育体制を整える必要があり、育成するまでに時間もかかる。
IT人材が転職してしまうというというリスクもある。ITエンジニアを派遣する人材サービスを提供するラクスパートナーズの営業企画部部長の漆島卓弥氏は「ITエンジニアは流動性が高く、引き抜かれたり、新しい技術を求めて転職していきます」と現状を指摘する。
同社のような外部の人材サービスを活用することには高額な費用がかかる というイメージがある。しかし、実際には同社のサービスに注目する企業は 急速に増えている。このほど開催された日本最大のIT展示会「Japan IT Week」でも100社以上から引き合いがあったという。
品質を担保するために
常用型派遣にこだわる
人材サービス提供企業が数多くある中で、同社が注目されているのは他の人材派遣サービスとは大きな違いがあるからだ。まず企業向けに経費精算システム「楽楽精算」などのクラウドサービスを提供しているラクスのIT人材事業部門が独立してできた企業であることだ。バックボーンがしっかりしているので安心できる。
そしてもう1つが“エンジニア育成型派遣”という独自のスタイルを採っていることだ。同社が派遣するITエンジニアは全て同社が採用し雇用している社員であり、しっかりと教育した上で派遣先に送り出されている。「自信を持って派遣するために常用型派遣※にこだわっています。品質を担保できますし、一人一人の成長を一緒に考えることができます」と漆島氏は語る。
※常用型派遣とは、派遣事業者が常時雇用される労働者の中から労働者派遣を行うこと。
しかも驚くことに基本的にITの未経験者を社員として採用し、3カ月かけて教育してITエンジニアに育て上げている。それができているのは、厳選した採用と徹底的な教育を行っているからだ。
同社の取締役・人材開発部部長の森大介氏は「一部の職種を除いて経験は不問。文理も問いません。重視しているのは“やる気”と“コミュニケーション能力”の高さです」と語る。ITエンジニアとして仕事をしたいという意欲と、派遣先で仕事をするためのコミュニケーション能力を求める。
未経験者に門戸を開いているので、年4回の応募には毎回多くの希望者が集まる。しかし、選考試験の合格率はわずか3%程度に過ぎない。年収は未経験者のレンジになるので、結果的にITスキルを身に付けたい若い層が多くなる。
採用した人材の教育には親会社のラクス時代に行っていたITエンジニアを育成するスクールでのノウハウが生かされ、企業から必要とされている職種に特化した教育が行われる。「一般的な資格試験のための教育より実践的な内容で、すぐに実務で生かせる技術をメインにしています」と森氏。現在は5つの職種でITエンジニアを派遣している(図参照)。
しかも入社後の評価も徹底している。派遣先からの評価も取り込む。「スキルだけでなく、コミュニケーションや取り組み姿勢などの項目についてもヒアリングして、人事評価に反映させています」と森氏。昇給昇格につながるだけに、社員一人一人がこうした項目を意識するようになり、それが派遣先からの高評価を生んでいるのだ。
ビジネスを止めないために
必要な時に必要な人材を
現在同社が派遣するITエンジニア数は650名。5年前の100名から順調に増やしてきた。職種も企業のニーズやITエンジニアの要望に応えて拡大してきた。漆島氏は「ITエンジニア不足でビジネスを止めるのはナンセンスです。当社のサービスで必要な時に必要な人材が活用できます」と話す。
ITエンジニアを派遣で活用するために重要なポイントになるのは、ニーズとマッチした人材かどうかだろう。その点、自社で採用・育成したITエンジニアを派遣する同社であれば、一人一人を深く理解しているので、的確な人材を選定でき、増員したいというニーズにも迅速に対応できる。
「ただし、派遣社員として見ると意識のズレがあるかもしれません。当社の社員はITエンジニアとして活躍したいと考えています。派遣先の企業で各部署の人をつなぐ役目を担って活躍している人もいます」と森氏は語る。
漆島氏は「ITエンジニアとしてスキルがあるのは当然です。プラスαのパフォーマンスで評価できる人材です」と話す。その意味では単なる人材不足を補うというよりも、ITでやりたいことを実現する仲間として捉え、役割分担をするほうが成果を期待できそうだ。
IT利活用を内製化したいと考えたときに、モノを作りたいエンジニアとデータを活用したい企業側でギャップが生じることもある。その間を埋める存在として同社のITエンジニアを活用するというのも1つの利用方法だ。
実際に、データ整理など泥臭い仕事でも同社のITエンジニアはモチベーションが高いという評判もある。Web開発やインフラ運用から機械学習の適用までポイントとなるところで同社のITエンジニアを活用することを考えてみるのもお勧めだ。