※本コンテンツは、2021年8月26日、8月28日に開催されたJBpress主催「第2回公共DXフォーラム」のセッションⅢ「自治体におけるDDDM(データデリブンによる意思決定) ~ EBPMの実現に向けて」の内容を採録したものです。

株式会社セールスフォース・ドットコムTableau
Account Executive
上原 政則氏

データドリブンの意思決定にはデータの深掘りが重要

 今回はTableauについてご紹介するとともに、行政において重要なEBPM(Evidence Based Policy Making、事実に基づく政策立案)の実現につながる、DDDM(Data Driven Decision Making、データドリブンによる意思決定)の概要についてご紹介します。

 データドリブンとは、データを総合的に分析し、将来予測、企画立案、意思決定などに役立てることを指します。当社ではこのデータドリブンを広めるべく「データを見て理解できるように支援します」というシンプルなミッションを掲げています。

 Tableauは、すべての機能において、このミッションをルーツとして開発されました。データを詳細に分析する必要がある専門職員はもちろん、行政の全体像を把握する必要がある幹部から進行中の業務に関する知見が必要な最前線の職員や管理職まで、あらゆる関係者を支援し、的確かつスピーディな意思決定に貢献できるものとなっています。

 データの利活用が進むと、様々な展開が見込めます。行政においては、政策立案の前提となる事実の確認や主張の裏付けを効率的に行えるようになり、将来的には住民や国民の行動変容を促すことも可能になると考えられます。

 一方で、すでにデータの利活用は進みつつあります。その背景にあるのは業務運営の変化です。多くの組織の業務運営は、これまでPDCAサイクルで行われるのが一般的でした。PDCAサイクルは、あらかじめ想定される事象に対しては有効な手段です。しかし昨今、想定外の事態や大きな環境変化など、計画通りに実行できない状況が増えています。こうしたなか、PDCAに変わる手段としてOODAループが注目されています。

 OODAループとは、現状を観察(Observe)して理解(Orient)し、方向性を決定(Decide)して実行(Act)する、迅速かつ柔軟に意思決定と実行が行える手法です。このOODAループを実践するに当たり、起点となる客観的事実としてデータを重視する傾向が強くなっているのです。

 では、データ分析はどのように進めれば良いのでしょうか。前提として、出発点に「見える化」があり、その次に「分析」があるという理解が必要です。

 例えば、自組織の「見える化」「分析」を行う場合、まず自組織で何が起こっているかを把握します。過去の経験則から状況をなんとなく理解するといったことではなく、定量的な把握です。この段階を「見える化」とします。

「見える化」により状況が把握できたら、次に「なぜ?」と問いかけます。このデータを深掘りする段階が「分析」です。「分析」が進むと、過去の傾向から将来を予測できるようになり、最終的には将来を見通した組織の意思決定ができるようになります。

 ちなみに、データの深掘りは「ドリルダウン」や「なぜなぜ分析」などと言われ、重要な工程となっています。「なぜなぜ分析」は、トヨタ自動車が開発した問題解決訓練手法の一つです。機械が故障した場合などに本質的な原因を特定するため、「なぜ?」を5回繰り返したと言われています。

データの深掘りが柔軟にビジュアルメインで行える

 データ分析において、Tableauはどのような役割を担うのか。Tableauの位置付けや特長についてご説明します。

 Tableauは、一般的にBI(Business Intelligence)に分類されます。BIは、企業や行政のシステムの中に肥大化、多様化して分散した膨大なデータを集約することができるツールです。情報の検索・分析を効率化できるだけでなく、分析結果をビジュアル的に分かりやすく可視化したり、データの統合によりデータの活用度範囲を広げたりできるのが特長となっています。

 一方で、BIツールには操作性が複雑な製品が少なくありません。使用感の悪い製品を導入してしまうと、むしろ作業を非効率にしてしまう可能性もあります。システム部門以外の担当者が使用することも想定し、シンプルでわかりやすい操作性のものを選ぶべきでしょう。

 また、うまく使いこなせば有効なBIツールですが、前提として、自組織の基幹データの蓄積は必要不可欠です。データが存在しなければ分析も予測もできません。

 そんなBIツールの中で、Tableauの最大の特長は、先ほどお話しした「なぜなぜ分析」のような深掘りを、ビジュアルメインでシンプルに行える点にあります。ユーザーの疑問に対する答えをその場で即座にビジュアライズできるだけでなく、その答えをさらに深掘りすると言ったアクションが繰り返し柔軟に行えます。

 行政であれば、問題となっている地域はどこか、なぜその地域が問題なのか、といった分析を、IT部門や分析担当者を頼ることなく、業務担当者の操作で行えるようになります。結果として迅速な意思決定にもつながるでしょう。

オープンデータにも対応、BIとAIの組み合わせも進む

 Tableauを活用してDDDMの実現を目指す兵庫県様の事例をご説明します。

 近年、社会経済全体の発展に寄与するものとして、オープンデータに期待が寄せられています。2016年には国と地方自治体がオープンデータに取り込むことが義務づけられました。兵庫県様においては、民産学官の各主体がデータの利活用に取り組む際の指針となる「ひょうご・データ利活用プラン」を策定し、2019年4月から取り組みを進めています。

 これを受け、オープンデータへの取り組みにTableauが導入されています。すでに現れた効果としては「オープンデータとの高い親和性によりデータの可視化の推進を可能にしたこと」「ドリルダウンで深掘りできる探索的なデータ分析の実現によりこれまで得られなかった知見を容易に得られるようになったこと」などがあげられ、データに基づいた政策立案につなげられると期待されています。

 兵庫県様に限らずTableauは多くの行政のお客様に支持されています。分析ツールとしての操作性やオープンデータへの対応のほか、データのバリューチェーンを網羅する統合プラットフォームとして組織全体にソリューションが提供できる点も評価されています。その他、最も重要な要素であるデータドリブン文化の醸成に貢献するべく提供している、多くのお客様のノウハウが詰まったガイド「Tableau Blueprint」も好評です。

 多種多様なシナリオでのデータ活用を可能にしているのは次世代分析プラットフォームです。組織内に散在する様々なデータにアクセスし、必要に応じて結合やブレンディングを行っています。現在ではここにAIの機能も加わり、AIによる示唆を活用してネクストアクションが導き出せようになっています。BIとAIの組み合わせにより、より多くの皆様がデータという共通言語を用いて対話、行動することを後押しできると考えています。

 Tableauをご活用いただければ、DDDMのようなデータ変革は着実に進んでいくでしょう。Tableauが、行政の皆様のEBPMを実現するための一助になれば幸いです。

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